2002 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシンの生体影響に対する化学物質の修飾効果の検討
Project/Area Number |
13027205
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宮入 伸一 日本大学, 薬学部, 教授 (50209855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 智之 日本大学, 薬学部, 助手 (30267116)
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Keywords | ダイオキシン / チトクロームP-450酵素活性 / ヒト培養細胞 / 連続測定 / 細胞生存率 / 毒性軽減 |
Research Abstract |
近年、環境中に放出された2,3,7,8-四塩化-p-ダイオキシン(TCDD)の生体影響が強く懸念されており、その毒性軽減法の開発が望まれている。そこで、ヒト培養細胞を用いた簡便で精度の高いスクリーニング法を検討し、TCDDの細胞に対する作用に影響(干渉)する物質の検索を行った。 TCDDの毒性発現機構は未だ不明な点が多いが、TCDDの生体作用の一つとして多環式芳香族化合物に対する受容体(AhR)に結合して、チトクロームP4501A (CYP1A)分子種を強く誘導する作用が知られている。本研究ではCYP1Aの酵素活性を指標とした。現在使われている哺乳類細胞を用いるアッセイ系は、技術的な問題から細胞応答と細胞生存率を別々に測定するものであり、精度的に不利である。一方、TCDDや他の化学物質のAhR結合能を検討するツールとして、レポーター遺伝子を組込んだ酵母を用いるアッセイ法が開発され繁用されている。しかし、物質の透過性において酵母細胞の細胞壁は哺乳類細胞のそれとは異なり、また細胞本来の機能への影響も異なることから、その結果から直接哺乳類への影響を推定することは精度・確度の面から十分とは言い切れない。 そこで、本研究では、まず同一ウェルの細胞のチトクロームP4501Aに基づく酵素活性と細胞生存率を連続的に測定できるアッセイ方法を構築した。次いで、確立したアッセイ法を用いてTCDDや他の化学物質のヒト培養細胞に対する影響の検討を行い、細胞生存率に影響しない濃度範囲においてsodium arseniteとethinylestradiolはTCDDの生体影響を抑制することを見いだした。さらに、最近報告された内因性AhRリガンド候補であるindirubinの誘導体を種々合成し、その細胞影響を検討したところ、いくつかの誘導体において高濃度域でTCDDの影響を減弱することを見いだした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Takao, K.Yamashita, S.Kohra, M.Inudo, M.Nagase, N.Tominaga, Y.Ishibashi, J.Sekizawa, S.Miyairi, K.Arizono: "High sensitivity analysis of indirubin by silylation using GC/MS"Journal of Health Science. 49・1. 88-90 (2003)