2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13027225
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
浦瀬 太郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60272366)
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Keywords | 内分泌かく乱化学物質 / エストラジオール / ビスフェノールA / 膜分離活性汚泥法 / ナノろ過 / 二相モデル |
Research Abstract |
膜分離法を水処理に用いて、内分泌撹乱化学物質の制御に用いようとする場合、ナノろ過によって分子ふるい的に対象化学物質を分離する方法と、膜分離活性汚泥法のように膜自体は化学物質を分離するのに十分ではないものの懸濁物質への物質の吸着を促進し、従来の重力沈降よりも格段に完全な固液分離をすることにより除去率を向上させる方法とが考えられる。 ナノろ過法による内分泌撹乱物質の分離に関して、エストラジオール類、ビスフェノール類、フタル酸エステル類など16種類について実験を行った。溶質のCohesive Energyは、London分散力、極性効果、水素結合力に分けて評価可能で、2種類の膜について、Cohesive Energyと阻止率の間の関係を得た。一方で、最重要パラメーターと考えられるサイズ効果についても考察した。エストラジオール、ビスフェノールAとも分子の大きさが大きいことから、サイズ効果により阻止率がCohesive Energyだけで考えるよりも実験的には大きくなったものと考えられる。サイズ効果について明らかにするために、今回用いた16種類の溶質の分子サイズを求めた。分子サイズの定義は、種々のものが考えられるが、分子の長軸に垂直な面への分子の投影図ですべての原子を含む最小の円の直径と定義した。エストラジオール類は、分子量ほどには分子サイズが大きくない溶質であることがわかる。このことが、有機リン酸トリエステル類よりも低い阻止率につながっていると考えられた。 一方、膜分離活性汚泥法については、17β-Estradiol, Ethynyl Estradiol, Bis Phenol Aを対象に膜分離活性汚泥法の実験をおこなった。汚泥相と水相を別々に測定することにより、2相モデルを構築し動力学的に解析した。膜分離を併用することで、かならずしも、生物処理の機能が向上することはなく、また、今回の試験対象溶質は、logK_<ow>が3程度の物質で水への溶解度が極端に小さくはないため、膜による精密な固液分離の除去率向上への影響は限定的であった。また、膜面における付着層による除去効果も安定的に望めるものではなかった。しかしながら、MLSSを高く運転できる点は、膜分離活性汚泥法の大変優れた点であり、汚泥濃度が高いことにより結果的に汚泥への吸着を促進し除去率を向上することが出来る。その効果をシミュレーションモデルを作成し、検証した。
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Research Products
(1 results)