2001 Fiscal Year Annual Research Report
分子インプリント膜による内分泌攪乱物質の認識とそれによる分離及び検出技術の確立
Project/Area Number |
13027227
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小林 高臣 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (90225516)
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Keywords | 分子インプリント / 高分子膜 / ダイオキシン / 認識 / 分離検出 / 濃縮 / ジベンゾフラン / ビスフェノール |
Research Abstract |
分子インプリント法を適応し、環境汚染物質であるジベンゾフランインプリント膜やビスフェノールA認識膜を開発し、これらの分離濃縮ならびに検出を目的とした研究を行った。ジベンゾフランはダイオキシンとほぼ似た骨格を有し、ジベンゾフランを刷り込んだインプリント膜はダイオキシンも同様に認識濃縮できることが明らかになった。作成された多孔膜は限外濾過膜の特性を有し、これにジベンゾフラン液を透過させると透過モードで濃縮分離が可能であることを見出した。この系では、認識の推進力としては電荷移動錯体が作用していることを吸収および蛍光スペクトルの測定から明らかにした。この結果により、ベースポリマーとなるポリスルホン骨格とジベンゾフランが電荷移動錯体を形成し、更に、光照射することにより400nm付近にブロードな発光体が出現し、これをモニターすることで検出デバイスとしても利用できることが明らかになった。また、ビスフェノールAを認識できるインプリント膜には、我々が開発したジチオカルバメート化ポリアクリロニトリル膜を利用した。今回、新規に2官能性のビスフェノールAモノマーを合成し、これを光グラフト重合によって、膜状にポリマー化した。同様に、メチレンビスアクリルアミドとの共重合層も形成させた。エステル形成で共有結合しているビスフェノールAを、酸加水分解で抽出し、膜表面の重合層内にインプリントサイトを形成させた。得られたインプリント膜をビスフェノールA、2ヒドロキシキシフェニルエチルアルコールや4-terブチルアルコールの認識性を検討した結果、ビスフェノールAに高い結合特性を有することが明らかになった。また、メチレンビスアクリルアミドとの共重合層の方が、インプリント効率が高いことが判明した。 以上のように今年度は、これまでにない膜状インプリント材料の作成に成功し、その種々の認識特性について詳細に検討した。
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[Publications] P.S.Reddy, T.Kobayashi et al.: "Molecular Imprinted Nylon-6 as a Recognition Materials of Amino acid"European Polymer Journal. 38. 521-529 (2002)
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[Publications] P.S.Reddy, T.Kobayashi et al.: "Recognition Characteristics of Dibenzofuran by Molecularly Imprinted Polymers Made of Common Polymers"European Polymer Journal. 38. 779-785 (2002)
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[Publications] T.Kobayashi et al.: "Phase Inversion Molecular Imprinting by Using Template Copolymers for High Substrate Recognition"Langmuir. 18. 2866-2872 (2002)
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[Publications] T.Kobayashi et al.: "Molecularly Imprinted Polysulfone Membranes Having Acceptor Sites for Donor Dibenzofuran as Novel Membrane Adsorbents"Chemistry of Materials. (印刷中). (2002)