2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13027243
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森澤 眞輔 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 亜紀 京都大学, 工学研究科, 助手 (10335200)
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Keywords | 内分泌攪乱物質 / リスク評価 / 評価枠組み / ビスフェノールA / PBPKモデル / マウス投与実験 / 種差の外挿 / 曝露評価 |
Research Abstract |
内分泌攪乱物質によるヒトへの悪影響の用量-反応関係が科学的に確認されない現状において、その影響を定量的に評価するための枠組みを、化学物質による発癌リスクを評価する枠組みを援用して構成した。経気道・経口経路による外部曝露を、PBPKモデルを用いて、生物学的な曝露が問題になる臓器・組織レベルでの内部曝露に変換し、分子・細胞レベルでの基礎研究や実験動物を用いた実験の成果をヒトに外挿推定する際に問題になる「種差」を、分子・細胞レベルでの感度比を用いて補正する。 Bisphenol-Aの平均的な日本人に対する曝露評価モデルを構築し、曝露量を算定した。飲料水経路による曝露量に比較して、缶詰や缶飲料などを介しての曝露量が支配的であり、平均的な日本人の曝露量は耐用摂取量の1%程度であることを示した。影響発現の可能性を評価するためには曝露量の変動解析が必要であることを示した。 最終的な評価対象物質であるビスフェノール-A(BPA)の放射性標識化合物をマウスに投与し、その体内分布ならびに胎児への移行・蓄積を把握するための基礎実験を実施し、マウスPBPKモデルを構築するための基礎データを収集した。BPAは胎盤を経由して速やかに胎児に移行すること、BPAのグルクロン酸包合体への代耐速度は、母胎中に比べて胎児中では小さく、BPAは胎児中に蓄積する傾向があること、胎児中の臓器・組織では特に生殖器・脳への蓄積割合が母胎中に比べて相対的に大きいこと、腸肝循環の効果が無視できないこと等を確認した。 Bisphenol-Aの曝露により活性が促進・抑制される遺伝子を特定し、その容量反応特性を確認する計画研究の他班の成果を得て、リスク評価のエンドポイントとして精巣や小脳に誘発される遺伝子の発現量変化をバイオマーカーとして利用する可能性について検討した。
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[Publications] S.Morisawa, A.Kato, M.Yoneda, Y.Shimada: "The Dynamic Performances of DDTs in the Environment and Their Exposure to Japanese : A Historical Perspective after the Ban"Journal of Risk Analysis. Vol.22,No.2. 245-263 (2002)
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[Publications] Masahiro Morikawa, Aki Nakayama, Shinsuke Morisawa et al.: "Dynamic Performance of Bisphenol-A in Pregnant Mouse and Physiologically-Based Pharmacokinetic Model Development, Environmental Toxicity Evaluation and Risk management"Environmental Toxicity Evaluation and Risk management. Vol.1. 60-74 (2003)
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[Publications] Shinsuke Morisawa, Yuko Kawamoto, Aki Nakayama, Minoru Yoneda: "Development of the New Framework for Evaluation of Human Health Risks due to the Endocrine Disrupting Chemicals in an Environment"Environmental Toxicity Evaluation and Risk management. Vol.1. 83-90 (2003)
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[Publications] 森澤眞輔, 川本裕子, 中山亜紀, 米田 稔: "内分泌攪乱物質によるヒト健康リスクの評価枠組みについて"日本リスク研究学会研究発表会講演論文集. 第15巻. 95-101 (2002)
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[Publications] 佐竹星爾, 川本裕子, 森澤眞輔: "食品経路によるビスフェノールAの曝露量について"環境技術研究協会年次大会研究発表会要旨集. 第2巻. 243-248 (2002)
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[Publications] 森澤眞輔他: "環境ホルモンの最前線"有斐閣選書. 252 (2002)