2001 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌攪乱物質による神経攪乱性評価のための簡易試験系の開発
Project/Area Number |
13027290
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
国本 学 北里大学, 薬学部, 教授 (20142101)
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Keywords | 内分泌攪乱物質 / 神経攪乱性 / 簡易試験系 / 培養神経細胞 / 分化 / 画像解析 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
内分泌攪乱物質による神経攪乱作用を簡易に評価しうる系の開発を目指して、ヒト神経芽細胞腫NB-1細胞における形態変化(神経突起様構造体の伸展)とそれに伴う関連遺伝子の発現を指標とした影響評価系の確立を試みた。株化神経細胞であるNB-1細胞は、培養下において自発的に神経突起を伸展し、これに伴って様々な神経細胞分化のマーカー蛋白質の発現が亢進する。この神経突起伸展をはじめとした神経細胞分化過程について、画像解析と関連遺伝子の発現変化の解析を体系的に行うことにより、脳神経系分化過程に対する新たな攪乱作用評価への道を開くことを目指した。突起伸展の度合いを指標として環境化学物質のスクリーニングを行い、突起伸展を促進する物質(CdCl2、diethylhexyl phthalate、2-phenylenediamine等)、突起伸展を抑制する物質(CH3HgCl、thiophenate-methyl等)を見いだした。更に本評価系の簡易化のために、顕微鏡、ビデオカメラ、PC、画像解析ソフトウエアからなるオンライン解析システムの構築を試み、プロトタイプができあがった。NB-1細胞において神経突起伸展度に変化のみられた物質(CdCl2、CH3HgCl等)について、暴露に伴うNB-1細胞での遺伝子発現の変化を、マクロアレイ法(Atlas Array)等を用いて解析し、影響マーカー遺伝子候補として、既報のものを含め10種類程度(GAP43、ANK2等)をピックアップした。本研究でのスクリーニングの範囲だけでも、多くの環境化学物質(被験物質の約1割)がNB-1細胞における神経突起伸展に影響を及ぼし、特に突起伸展を促進する物質が多いことが明らかになった。神経突起伸展度とマーカー遺伝子の発現度の二つの評価系を併せ用いることにより、特に発生段階の脳神経系に対する内分泌攪乱物質の影響の簡易評価・一次スクリーニングへの道が開かれると期待される。
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