2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13029026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 正治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00282723)
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Keywords | 炭素-炭素結合生成反応 / 小員環化合物 / オレフィンカルボメタル化反応 / 有機亜鉛化合物 / 鉄触媒 |
Research Abstract |
本研究は,有機金属クラスター活性種を鍵中間体あるいは触媒活性種とする有機金属試薬のオレフィン類への付加(カルボメタル化)反応の開発を,特に鉄を含んだ歪み有機小員環活性種の創製を通して行うものである.具体的には,不斉合成の重要性を考慮して,(1)光学活性有機典型金属クラスターの構造設計を機軸とする不斉カルボメタル化反応と(2)有機鉄/典型金属クラスター触媒の構造設計を機軸とする触媒的不斉カルボメタル化反応の二つの新規炭素-炭素結合生成反応を検討する. 本年度は(2)に関して,これまでに見出した鉄触媒によるシクロプロペン類のカルボ亜鉛化反応の改良,およびその適応範囲の拡大を目指し検討を行った.その結果,新たな有機鉄触媒前駆体として弗化鉄(III)が利用可能であることが明らかとなった.また基質としてはシクロプロペン以外にも,アルキン類,オキサビシクロアルケン類,およびアザビシクロアルケン類が,新たに見いだされた鉄触媒反応系でカルボメタル化反応を受けることを見いだした.また歪み小員環からの活性種の創製という観点からメチレンシクロプロパン類から熱的に生成するトリメチレンメタン活性種の合成化学的応用法についての研究も執り行った.元来,開殻系のビラジカル種として挙動するはずのトリメチレンメタンが酸素官能基を導入することで,双極イオン性を帯び反応性の低い,ジアルキル亜鉛試薬の付加を受けることが明らかとなった.反応条件の最適化の後,反応系中に双極性トリメチレンメタン前駆体とジアルキル亜鉛とカルボニル化合物を共存させ,加熱するだけで種々のホモアリルアルコール類を高収率で合成することが可能となった.以上のように「鉄」「歪み小員環有機化合物」に着目した本課題研究によってこれまでにない新たな化学変換反応を発見することができた.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Nakamura et al.: "Carbozincation of Dipolar Trimethylenemethane. A New Route to Functionalized Organozinc Reagents"Chem.Lett.. 146-147 (2002)
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[Publications] M.Nakamura et al.: "Regioselective Allylzincation of Vinylboronate"Org.Lett.. 3. 3137-3140 (2001)
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[Publications] H.Ohara et al.: "[2+2]-Cycloaddition Reaction of Styrene Derivatives Using an Fe(III) Salt Catalyst"Chem.Lett.. 624-625 (2001)
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[Publications] M.Nakamura et al.: "[3+3] Cycloaddition Reaction of Dipolar Trimethylenemethane with Active Methylene Compound"Synlett. 1030-1033 (2001)
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[Publications] M.Nakamura et al.: "Synthesis of Substituted Cyclopropanone Acetals by Carbometallation and Its Oxidative Cleavage with Manganese (IV) Oxide and Lead (IV) Oxide"J.Organomet.Chem.. 624. 300-306 (2001)