2001 Fiscal Year Annual Research Report
環状アルコキシボレートを反応中間体とする有機合成の新展開
Project/Area Number |
13029035
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 雄一 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (90153650)
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Keywords | 環状ボロネートエステル / アルケニルボレート / 有機ホウ素化合物 / 転位反応 / 環化反応 / パラジウム / decarestrictine D / コレステロール生合成阻害剤 |
Research Abstract |
ジオールをリガンドとするボレートは高反応性を示すことが最近の研究で明らかになった。本研究ではこのボレート用いる転位環化反応の開発および従来合成の困難だったタイプのポリオール合成を行った。 1.分子内に脱離基を有するボロネートエステルにη-BuMgClを加えて,室温にて一夜反応させた。得られた反応混合物をH_2O_2で処理すると1-ヒドロキシペンチル基を有するシクロペンタンが生成した。Bu基がホウ素原子上から隣のオレフィン炭素上に転位し,これに伴い環化反応が進行したと考えている。この際,生成物の収率は立体障害の大きいスルホネートを脱離基とする化合物の場合約70%であったが,ヨウ素原子の場合,低収率であった。 2.水酸基を有するシス-ブロミドとアルケニルボレートとのカップリング反応生成物(ジエン)をエボキシ化し,続いてAcOH/Pd(0)cat.系と反応させると1,4,5-トリヒドロキシ-2-エンが立体かつ位置選択的に合成できた。この反応を活用してdecarestrictine D(新しいタイプのコレステロール生合成阻害剤)の重要中間体の合成に成功した。
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