2001 Fiscal Year Annual Research Report
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13029050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20174279)
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Keywords | ロジウム / メタラサイクル / フェノール / 酸化的付加 / ラクトン |
Research Abstract |
本年度はシクロブタノンの2位あるいは3位にフェノール性水酸基を導入した基質を用いてロジウム触媒による反応を行い、ロジウムへの酸化的付加により五員環ローダサイクルを発生させ、その分子内フェノール性水酸基に対する反応性について検討した。まず3位にオルトフェノール基を持つシクロブタノンをジクロロケテンとオルトビニルフェノール誘導体との[2+2]付加環化反応により合成した。これをロジウム(I)錯体の存在下で140℃で加熱すると、カルボニル炭素と2位炭素間の結合が酸化的付加した後に、カルボニル炭素とフェノール性水酸基の間でラクトン化が進行し、飽和6員環ラクトンと不飽和6員環ラクトンの混合物が得られた。 次に、2位にオルトフェノール置換基を持つ基質について検討した。この基質は二種類のα炭素-炭素結合を持つが、カルボニル炭素と2位炭素間の結合が位置選択的にロジウム(I)錯体に酸化的付加し、その後上述の3位置換体と同様な機構でラクトン化が進行し、7員環ラクトンが生成した。特に一酸化炭素の雰囲気下で反応を行った場合に良好な結果が得られた。フェノール性水酸基の配位による顕著な促進効果がみられ、1OO℃でカルボニル炭素とα位炭素間の単結合が切断されたことは興味深い。 比較のために、2位にオルトフェノール置換基に加えてメチル基を持つシクロブタノンで同様な反応を行った。このように2位が二置換になると、立体障害のためカルボニル炭素と2位炭素間の結合の反応性が低下し、その結果もう一方のα炭素-炭素結合、すなわちカルボニル炭素と4位炭素間の結合がロジウムに酸化的付加し、ラクトン化を経て5員環ラクトンが生成した。この場合、フェノール性水酸基の配位による酸化的付加の促進効果が位置的に困難となり、再び140℃での反応温度が必要となった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Murakami, Y.Miyamoto, Y.Ito: "A Silyl Substituent Can Dictate a Concerted Electrocyclic Pathway : Inward Torquoselectivity in the Ring Opening of 3-Silyl-1-cyclobutene"Angew. Chem. Int. Ed. Engl.. 1・40. 189-190 (2001)
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[Publications] M.Murakami, Y.Miyamoto, Y.Ito: "Stereoselective Synthesis of Isomeric Functionalized 1,3-Dienes from Cyclobutenones"J. Am. Chem. Soc.. 26・123. 6441-6442 (2001)
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[Publications] M.Murakami, Y.Miyamoto, Y.Ito: "Rhodium-catalysed addition of arylboronic acids to oxabenzonorbornadienes"Chem. Commun.. 4. 390-391 (2002)
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[Publications] M.Murakami, M.Ubukata, Y.Ito: "Ruthenium-Mediated Domino Sequence Forming Six-Membered Ring Diene from Ene-Yne and Alkene"Chem. Lett.. 3. 294-295 (2002)