2001 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的不斉カルボニル化反応による光学活性β-ラクタム類の合成
Project/Area Number |
13029078
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柴田 高範 岡山大学, 理学部, 助教授 (80265735)
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Keywords | パラジウム / 一酸化炭素 / アレン / 複素環 / アミン |
Research Abstract |
2つの二重結合が連続した構造を持つアレンは、オレフィンやアセチレンにない特有の反応性を持ち、合成上有用な三炭素合成素子として用いられている。例えば、アリールパラジウム(II)種に対してアレン化合物を作用させると速やかに挿入反応が進行し、π-アリルパラジウム中間体を与えることが知られている。 そこで筆者は、一酸化炭素雰囲気下、アレニルアミン化合物を用いれば、分子内のアミノ基がπ-アリルパラジウム中間体へ求核付加し、引き続き一酸化炭素の挿入を伴ってパラジウムが還元的脱離すれば、β-ラクタムが得られると考えた。実際に触媒としてPd(PPh_3)_4、塩基として炭酸カリウム用い、加熱条件によりα-アレニルアミンとヨードベンゼンの反応を行うと、予期に反してカルボニル基を環外にもつ含窒素五員環生成物が得られた。この結果は、系中で生成するフェニルパラジウム種が、アレンに挿入する前にカルボニル化され、ベンゾイルパラジウム種となり、その後アミンの求核付加により閉環したと考えられる。従って、アルゴン雰囲気下で反応を行うと、環状にフェニル基をもつ含窒素複素環であるピロール誘導体が得られた。 反応条件を精査した結果、トルエン溶媒中、嵩高い有機塩基であるエチルジイソプロピルアミン(Hunig base)を用いた場合、反応は効率的に進行し、高収率でジヒドロピロール誘導体を与えた。本反応は、ベンゼン環上に電子吸引性基、電子供与性基いずれの置換基をもつヨー化アリールを基質として用いても進行し、対応するアリール置換複素環化合物を与えた。
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