2001 Fiscal Year Annual Research Report
イノラートを用いる活性多元素環状中間体の創製と反応
Project/Area Number |
13029084
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
新藤 充 徳島大学, 薬学部, 助教授 (40226345)
|
Keywords | イノラートアニオン / オレフィン化反応 / カスケード反応 / ブテノリド / 立体電子効果 / シクロアルケン / ベーターラクトン / 電子環状反応 |
Research Abstract |
1、イノラートとカルボニルとの環化付加で生成するβ-ラクトンエノラートの熱解裂を利用した高立体選択的オレフィン化反応:(1)イノラートアニオンとケトンを室温で反応させるとβ-ラクトンエノラートが生成し、これは速やかに熱開環して四置換オレフィンを与えた。このときの幾何異性選択性はフェニルアルキルケトンの場合4対1から8対1であった。この反応制御機構はβ-ラクトンエノラートが電子環状反応による開環の際に切断されるC-Oσ結合とベンゼン環のπ軌道との相互作用であると考えられる。現在更なる詳細な反応機構の解析を検討中である。(2)イノラートアニオンとα-オキシケトンとを上記条件で反応させたところ50対1以上のZ選択性で四置換オレフィンが得られた。この成果は一般性の高い選択的四置換オレフィンの合成法の最初の例である。この生成物を酸触媒化加熱すると速やかにラクトン化し、有機合成上有用な多置換γブテノリドが高収率で生成した。幾何異性選択性の要因はエーテル酸素原子によるリチウムカチオンに対するキレーションであると考えられる。基質となるαオキシケトンは環状でも良い。以上の立体選択的オレフィン化反応はリンイリドや遷移金属を用いたオレフィン化反応とは全く反応機構が異なっており、新規なオレフィン化反応として有用になるものと考えられる。 2、β-ラクトンエノラートの求核性を利用したカスケード反応:イノラートアニオンとα、β-不飽和エステルを分子内に有するケトンとを反応させるとイノラートアニオンとケトンとの環化付加反応に引き続くマイケル反応が進行しシクロアルカンが縮合したβ-ラクトンが得られた。この生成物を酸触媒化加熱すると容易に脱炭酸し、多置換シクロアルケンが高収率で得られた。イノラートの特性が発揮されたカスケード反応であり、イノラートアニオンの高機能性が改めて示された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Shindo, M.: "The first tandem [2+2] cycloaddition -Michael reaction using ynolates : facile construction of substituted carbocycles"Organic Letters. 3. 2029-2031 (2001)
-
[Publications] Shindo, M.: "Practical synthesis of ynolate anions : naphthalene-catalyzed reductive lithiation os α,α-dibromoesters"Tetrahedron Letters. 42. 8357-8360 (2001)
-
[Publications] Shindo, M.: "A novel tandem [2+2] cycloaddition -Dieckmann condensation with ynolate anions. Efficient synthesis of substituted cycloalkenones and naphthalenes via formal [n+1] cycloaddition"The Journal of Organic Chemistry. 66. 7818-7824 (2001)
-
[Publications] Yokota, W.: "Synthetic studies on Halichiorine and pinnaic acid : palladium mediated construction of the bicyclic spiro core"Heterocycles. 54. 871-885 (2001)
-
[Publications] Sato, K.: "Total synthesis of (-)-Heliannuol E"The Journal of Organic Chemisty. 66. 309-314 (2001)
-
[Publications] Yuki, K.: "Enantioselective total synthesis of (-)-equisetin using a Me3Al-mediated intramolecular Diels-Alder reaction"Tetrahedron Letters. 42. 2517-2519 (2001)