2001 Fiscal Year Annual Research Report
多元素環状化合物を有する新規グリコシド形成反応の開発と天然物合成への展開
Project/Area Number |
13029108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千田 憲孝 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (50197612)
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Keywords | 多元素環状化合物 / スピカマイシン / N-グリコシド / 核酸塩基 / 核酸系抗生物質 / C-Nクロスカップリング |
Research Abstract |
複素環化合物など多元素環状化合物と糖が結合した化合物には重要な生物活性を示すものが多い。スピカマイシンはヒト胃ガンに対し優れた抗腫瘍活性を示す新規核酸系抗生物質であり,糖の1位がアデニンの6位のアミノ基と結合した,きわめて珍しいN-グリコシド構造を有している。本研究ではアデニン,シトシン,グアニンなどの複素環の環外アミノ基と糖の1位を結合せしめる新規かつ効率的な合成法の開発と,本法を利用したスピカマイシンならびにスピカマイシン核酸類縁体の全合成を13年度の目的として,研究を遂行した。 天然に豊富に存在し,入手容易なmyo-イノシトールを出発原料とし,スピカマイシンの糖部分であるアミノへプトース等価体の立体選択的な合成を行った。これを糖アミンへ導き,9位を保護した6-ハロゲン化プリンとパラジウム触媒存在下カップリングさせ,スピカマイシンの特徴的な構造であるβ-マンノ型のN-グリコシド構造の構築に成功した。これを三臭化ホウ素と処理し,スピカマイシンアミノヌクレオシドへ変換,さらにアミノ基に脂肪酸部位を導入し,スピカマイシンの初の全合成を達成することができた。 またスピカマイシンの核酸誘導体を合成するため,上記研究と平行して,4位にハロゲン等を有するピリミジノン誘導体,2位にハロゲン等を有するハイポキサンチン誘導体の合成を検討した。これらとアミノヘプトース等価体をパラジウム触媒存在下カップリングさせる手法により,現在までに2-アミノピリジンスピカマイシンの全合成に成功した。さらにシトシンスピカマイシン,グアニンスピカマイシン等の全合成を試みている。これらの化合物については抗腫瘍性を中心に生物活性を詳細に検定する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Suzuki: "Total Synthesis of Spicamycin Amino Nucleoside"Organic Letters. 2・(8). 1137-1140 (2000)
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[Publications] T.Suzuki: "Total Synthesis of Spicamycin"The Journal of Organic Chemistry. 67(印刷中). (2002)