2003 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合の動的制御による刺激・環境応答性強相関ソフトマテリアルの構築
Project/Area Number |
13031009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 隆史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70214377)
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Keywords | ソフトマテリアル / 水素結合 / 液晶 / 自己組織化 / 分子集合 / 超分子 / 液晶ゲル / イオン伝導 |
Research Abstract |
本研究では、水素結合などを駆動力として複数の動的機能成分が、階層的相分離構造を形成することにより、分子キラリティーや光の透過・散乱あるいは電荷や物質(イオンなど)の輸送を制御する、新しい強相関ソフトマテリアルを創製した。 (1)生体分子である葉酸誘導体にサーモトロピック液晶性を付与した分子が、ナトリウム塩の存在下でキラルキュービック相を発現することを見出した。この分子は液晶状態において水素結合性テトラマーを形成しているが、分子刺激としてナトリウム塩が存在すると、ディスク状テトラマー同士の重なりにらせん状秩序が生じ、超分子キラリティーが発現したと考えられる。 (2)電極基板に対して垂直に配向したネマチック液晶をテンプレートとする水素結合性ファイバーの形成によって、垂直配向した液晶ゲルを作成に成功した。配向したゲルの形成に誘電率異方性が負のネマチック液晶を用いた結果、電場オフ時には白濁状態を示すリバースモード光散型電気光学材料として機能した。 (3)フオトクロミック分子を導入した液晶ゲルが、書き換え可能な光情報記録材料として機能することを見出した。アゾベンゼン部位を有するキラルなジアミド型ゲル化剤を用いて形成したネマチックゲルは、アゾベンゼン部位の光異性化に伴う水素結合性ファイバーの解離・形成によって、コレステリックゲルに変化した。この変化を用いて情報を光記録し、室温で安定に情報を保存することに成功した。 (4)イオン伝導部位と絶縁部位をナノメートルレベルで相分離秩序化して配向制御することにより、低次元イオン伝導材料を構築することに成功した。また、配向処理後に重合することによる自立性・柔軟性のあるイオン伝導フィルムの作成やイオン性液体の化学修飾や水素結合による複合化を行い、新しい低次元イオン伝導性を発現させることにも成功した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Kato, et al.: "Supramolecular Chirality of Thermotropic Liquid-Crystalline Folic-Acid Derivatives"Angewandte Chemie International Edition. (in press).
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[Publications] N.Mizoshita, K.Hanabusa, T.Kato: "Fast and High-Contrast Electrooptical Switching of Liquid-Crystalline Physical Gels : Formation of Oriented Microphase-Separated Structures"Advanced Functional Materials. 13・4. 313-317 (2003)
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[Publications] M.Yoshio, T.Mukai, H.Ohno, T.Kato: "One-Dimensional Ion Transport in Self-Organized Columnar Ionic Liquids"Journal of the American Chemical Society. 126・4. 994-995 (2004)
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[Publications] Y.Suzuki, N.Mizoshita, K.Hanabusa, T.Kato: "Homeotropically Oriented Nematic Physical Gels for Electrooptical Materials"Journal of Materials Chemistry. 13・12. 2870-2874 (2003)
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[Publications] M.Moriyama, N.Mizoshita, T.Yokota, K.Kishimoto, T.Kato: "Photoresponsive Anisotropic Soft-Solids : Liquid-Crystalline Physical Gels Based on a Chiral Photochromic Gelator"Advanced Materials. 15・16. 1335-1338 (2003)
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[Publications] 加藤 隆史: "水素結合の動的制御による刺激・環境応答性強相関ソフトマテリアルの構築"機能材料. 24・4. 38-41 (2004)
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[Publications] 守山雅也, 溝下倫大, 加藤隆史(分担執筆): "ナノファイバーテクノロジーを用いた高度産業発掘戦略"シーエムシー出版. 9 (2004)