2001 Fiscal Year Annual Research Report
四次構造エンジニアリングによる人工サブユニットの開発
Project/Area Number |
13031021
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
早出 広司 東京農工大学, 工学部, 教授 (10187883)
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Keywords | 酵素反応 / 触媒・科学プロセス / 生体材料 / ナノバイオ / 蛋白質 / ランダムペプチドライブラリ / ファージディスプレイ / 基質特異性 |
Research Abstract |
本研究では、全く新しい蛋白質機能の制御技術として四次構造エンジニアリングによる人工サブユニット構築を提案した。すなわち、新たに強相関インターフェイスを目的蛋白質に導入し、非共有結合によりde novo合成されたペプチドあるいは既存の蛋白質とのあいだに複合体を形成させることにより新機能を有する強相関ソフトマテリアルの構築をめざした。本研究ではグルコース-3-脱水素酵素をはじめとしたグルコース酸化還元酵素群を対象とし、基質特異性を制御する人工サブユニットならびに電子伝達を行う人工サブユニットを四次構造エンジニアリングにより構築することを目的とした。初年度は特にグルコース-1-脱水素酵素(GDH)を対象とし、ファージディスプレイランダムペプチドライブラリを用いてこの基質特異性を制御するサブユニットの開発を試みた。 数回のバイオパンニングの結果、GDHとの相互作用を指標として回収されたファージより、いくつかの7merと12merのGDH結合ペプチドが得られた。それらの合成ペプチドを用いて、ペプチド濃度がGDH活性におよぼす影響について調べたところ、7merであるNo.3-14および12merであるNo.12において、その存在下でGDHの活性の低下が見られた。このことから、これらの合成ペプチドは活性中心近傍に結合している可能性が示された。さらに12merのペプチドはグルコースおよびマルトースに対して、7merの合成ペプチドはラクトースならびにマルトースに対するGDH活性が低下し、同酵素の基質選択性が向上した。 今回開発されたGDHの基質特異性を制御する人工サブユニットはGDHの基質認識近傍に結合することにより本酵素の活性を制御しているものと予想され、本研究で提案する手法により蛋白質の機能改良が進められることが示された。今後、ここで明らかになった人工ペプチドと相互作用を有するGDHの領域の構造を解析することにより、強相関インターフェイス、ひいては新規な強相関ソフトマテリアルが設計できるものと期待される。
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