2003 Fiscal Year Annual Research Report
極限環境下における生体分子間疎水性相互作用とその強相関ソフトマテリアルへの応用
Project/Area Number |
13031024
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 聡 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (50227899)
|
Keywords | 生物・生体工学 / バイオテクノロジー / ソフトマテリアル / タンパク質 / 極限環境 |
Research Abstract |
極限環境微生物が生産するタンパク質の多くは極限環境においてもその構造を崩すことなく機能を発現し,機能性材料の基盤としてのポテンシャルは高い。本研究では,各種極限環境微生物が生産するタンパク質の構造と機能に関する研究を行い,既存のタンパク質に極限環境耐性を付与する際の分子設計基準の提供を目指している。 キチンはN-アセチル-D-グルコサミンがβ-1,4結合で直鎖状に連なった多糖であり,キチンの加水分解酵素がキチナーゼである。本研究では,好アルカリ性バシラス属細菌J813株が生産するキチナーゼ(ChiJ)の遺伝子クローニングとタンパク質工学による機能部位解析を行った。遺伝子配列から類推されるアミノ酸配列の他キチナーゼとの相同性比較より,ChiJはファミリー18触媒ドメイン(CatD),フィブロネクチンタイプIIIドメイン(FnIIID)およびキチン結合ドメイン(ChBD)からなるマルチドメイン構造をとっていた。ChiJ遺伝子を高発現ベクターに連結し,大腸菌による高効率発現系を構築した。また,各種ドメイン欠失型酵素を調製し,それらの不溶性キチンへの結合能を調べたところ,FnIIID/ChBD領域(主としてChBD領域)が不溶性キチンへの結合に関与していることが明らかとなった。さらに,ChBD領域は不溶性キチンに結合し,CatDによる加水分解反応を促進する働きがあることがわかった。一方,ChiJを含むファミリー18キチナーゼにおいて高く保存されているCatD領域内の酸性アミノ酸を他のアミノ酸へ置換した変異型酵素の解析により,Glu198がChiJの触媒残基であることが強く示唆された。現在,FnIIID/ChBD領域に金属結合性ペプチド配列を連結した融合タンパク質を構築し,キチン表面上へ量子ドットを形成させるなど,そのソフトマテリアルへの応用の可能性を模索している。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] T.Komatsu et al.: "Thermostable Synthetic Hemoprotein"Chem.Lett.. 32. 108-109 (2003)
-
[Publications] S.Nakamura: "Structure and Function of a Multidomain Alkaline Xylanase from Alkaliphilic Bacillus sp.Strain 41M-1"Catal.Survey Asia. 7. 157-164 (2003)
-
[Publications] Ihsanawati et al.: "Crystallization and Preliminary X-ray Studies of Xylanase 10B from Thermotoga maritima"Acta Cryst.. D59. 1659-1661 (2003)
-
[Publications] 中村 聡: "バイオマテリアルへの期待"化学装置. 45. 51-52 (2003)
-
[Publications] 中村 聡: "極限環境微生物とその利用:極限酵素の分子手術"BIOベンチャー. 3. 92-94 (2003)
-
[Publications] 中村 聡: "アルカリキシラナーゼの分子手術"BIO INDUSTRY. 20. 5-16 (2003)
-
[Publications] 中村 聡: "環境修復と有用物質生産-環境問題へのバイオテクノロジーの利用-"シーエムシー. 26-32 (2003)