2001 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合による動的制御認識プロセスを用いた分子記憶システムの開発
Project/Area Number |
13031039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八島 栄次 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50191101)
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Keywords | ポリフェニルアセチレン / らせん構造 / 誘起CD / 水中重合 / 動的認識 / 誘起らせん / 水素結合 / 分子記憶 |
Research Abstract |
生体を構成する核酸やタンパク質などの生体高分子はいずれも一方向巻きのらせん構造を有し、生命活動の維持に不可欠の高度の機能を発現している。これららせん構造の形成には特異的な非共有結合性の水素結合が重要な働きをしている。本研究では、生体高分子でよく見られる比較的弱い分子間水素結合を積極的に利用することにより、光学不活性なポリマーに動的な一方向巻きのらせん構造を誘起し、さらにそのらせんキラリティーを記憶できるかどうかを調べることを目的とする。そこで、ホスホン酸残基を有するシス-トランソイド構造のポリフェニルアセチレン誘導体を合成し、様々のアミノ酸存在下、水中でCDスペクトルを測定したところ、これらが19種類の標準アミノ酸すべてのキラリティーに応答して、一方向巻きのらせん構造を形成し、主鎖の共役二重結合領域に誘起CDを示すことが分かった。特に、側鎖にホスホン酸モノエチルエステル部位を有するポリフェニルアセチレンは、プロリンを除く18種類の標準L-アミノ酸すべてに対して、同符号のコットン効果を示し、このポリマーが水中でのキラリティー識別用のプローブとして有用であることが明らかになった。これら高分子電解質は、その強いイオン凝集効果によって、逆の電荷を有する低分子電解質と水中でも静電的な相互作用を介して結合でき、そのため、らせんが誘起され、水中でもCDを示したものと考えられる。さらにこれらポリマーは、他の様々の光学活性アミノアルコール・オリゴペプチドやポリペプチド、アミノ糖や抗生物質存在下、そのキラリティーに高感度に応答して、水中で誘起CDを示した。また、末端を保護したアラニンの3量体のキラリティーにも応答して、水中で誘起CDを示すことが分かった。これはこれらのポリマーが静電的な相互作用だけでなく水素結合を介しても、水中で十分相互作用可能であることを示唆している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Maeda et al.: "Helix Formation of Poly (phenylacetylene) Derivatives Bearing Amino Groups at the Meta Position Induced by Optically Active Carboxylic Acids"J. Polym. Sci. Part A, Polym. Chem.. 39. 3180-3189 (2001)
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[Publications] K.Maeda et al.: "Stereospecific Polymerization of Propiolic Aced with Rhodium Complexes in the Presence of Bases"Macromolecules. 34. 1160-1164 (2001)
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[Publications] H.Onouchi et al.: "A Helical Polyelectrolyte Induced by Specific Interactions with Biomolicules in Water"J. Am. Chem. Soc.. 123. 7441-7442 (2001)