2001 Fiscal Year Annual Research Report
無機有機複合体膜により時空間制御されたオンデマンド型表面の創成
Project/Area Number |
13031071
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
芳賀 正明 中央大学, 理工学部, 教授 (70115723)
|
Keywords | 表面積層化 / ルテニウム錯体 / 自己組織化膜 / 固体表面 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
本特定研究では,種々の分子間相互作用を利用して階層的な分子構築を界面で行い,オンデマンド型表面を合成し,情報変換機能を有する表面分子系の創成を目指した。ここでは,(1)オンデマンドな表面合成のためにコンビナトリアル化学による種々の表面官能基をもつ無機有機複合体の合成と(2)表面錯形成能をもつアンカー基(たとえばホスホン酸基)をもちいたポリアセチレンやDNAなどの高分子との無機・高分子表面複合体の合成について検討した。課題(1)については,ホスホン酸基をもつビス(ベンズイミダゾリル)ピリジンを配位子とするルテニウム錯体とジルコニウムイオンとの錯形成を利用したレドックス活性金属錯体をITO基板上に自己組織化し、次いでZrイオン溶液に浸して錯形成させ、またRu錯体の溶液に浸けるという操作を繰り返すことで界面積層化が進むことをUVスペクトルの吸光度の直線的な増加から明らかにした。シリコン基板上に5層積層化した多層膜系をAFMで観察すると幅50~100nmの底部をもち、分子5層にほぼ対応する針状ドメイン構造が見られたことから積層化はドメインを作りながら起こることが明らかになった。異なる中心金属イオンをもつOs錯体を任意の位置にいれた積層膜も作製することもでき,各層がいずれもレドックス活性であることがわかった。 課題(2)については,側鎖にフェニルホスホン酸基をもつポリアセチレンとレドックス活性な金属錯体との表面複合体の合成を検討した。まずITO基板上にレドックス活性なRu錯体を自己組織化膜として一層固定した後に、ホスホン酸基によりジルコニウムイオンと錯形成後、フェニルホスホン酸基をもつポリアセチレン水溶液中に基板をつけた。UVスペクトルでこの過程を追跡すると、490nm付近の吸収はITO基板の第1層目に自己組織化したRu錯体のMLCT帯に基づく吸収はポリアセチレン水溶液に浸積後測定してもほとんどかわらずに,いままで吸収の谷であった400nm付近の吸収のみが増加するのが観測された。ポリアセチレン水溶液の浸積回数が増えるとともに400nmの吸収の増加が見られた。ポリアセチレン水溶液は400nm付近にブロードな吸収をもつことからポリアセチレン-Zrイオン-ルテニウム錯体積層構造が表面にできていることが推定できた。
|
-
[Publications] K.Wang: "Effect of Subphase pH and Metal Ion on the Molecular Aggregates of Amphiphilic Ru Complexes Containing 2,2' : 6',2"-Terpyridine-4'-phosphonic Acid at the Air-water Interface"Langmuir. (印刷中). (2002)
-
[Publications] M.Haga: "Proton-gated Molecular Devices Based on Rod-shaped Mertal Complexes Immobilized on Solid Surface"Mat.Res.Soc.Symp.Proc. 675E. B531-536 (2001)
-
[Publications] Y.Hashimoto: "Metal ion sensors based on self-assembled monolayer anchored by tetradentate 6,6'-bis(benzimidazol-2-yl)-2,2'-bipyridine phosphonic acid on indium oxide doped-tin oxide(ITO) electrode"J.Inst.Sci.Eng.Chuo Univ. 7(印刷中). (2002)