2002 Fiscal Year Annual Research Report
セレンの異常分散を利用する実験室系X線構造解析システムの開発
Project/Area Number |
13033001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邉 信久 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70212321)
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Keywords | SAD法 / 異常分散 / モリブデン / セレン / 硫黄 |
Research Abstract |
本課題はセレンの異常分散を実験室系の装置で測定し,SAD法による位相決定に利用することを目指した.本年度は2年計画の2年目として,研究実施計画に基づき以下の研究を実施した. ●ネイティブタンパク質の銅特性X線による構造解析 卵白リゾチーム結晶をモデル試料として,Cu Kα線(1.54Å)による精密データ測定を試み,硫黄の異常散乱項の寄与を評価した.データ測定の冗長性を10以上に上げることで,わずか0.5電子分しかない硫黄の異常散乱項の測定精度を上げられることを確認した.さらにフラッシュソーキング法で臭素やヨウ素を結晶中に導入し,それらの元素の異常散乱によって構造解析することを試みた.その結果臭素が導入も容易であり,構造解析に有望であることが確認された. ●セレン化タンパク質のモリブデンの特性X線による構造解析 セレン化タンパク質のCu Kα線によるデータ収集と構造解析は他の研究者による例があることから,MoのKα線(0.7Å)による構造解析を試みた.現在のところ成功していない. 2年間の計画年度は終了したが,今後さらにCrの特性X線(2.1Å)の可能性を追及する.
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