2001 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合型グルタミン酸受容体結合タンパク質PSD-zip45のX線結晶構造解析
Project/Area Number |
13033042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中津 亨 理化学研究所, 速度論的結晶学研究チーム, 連携研究員 (50293949)
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Keywords | PSD-Zip45 / グルタミン酸受容体 / X線結晶構造解析 / シナプス / 自己重合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、グルタミン酸受容体(mGluR)に結合するタンパク質であるPSD-Zip45のX線結晶構造解析を行い、情報伝達が行われるときの仕組みを立体構造に基づいて明らかにしようとするものである。PSD-Zip45はC末端領域にロイシンジッパーモチーフが存在し、この部分が存在すると非常にアグリゲーションを起こしやすい。そこでPSD-zip45ファミリー内で保存されているN末端側186残基中、175残基までの領域についてX線結晶構造解析を行った。結晶化は沈殿剤としてクエン酸ナトリウムを用い、約2週間でX線結晶構造解析に適した結晶が得られた。得られた結晶のX線回折強度データの収集をSPring-8のビームラインBL45PXにおいて行い、1.8Å分解能の回折強度データを得た。すでに構造が明らかになっているPSD-Zip45のN末端側112残基のEVH1ドメインを用いて分子置換法により、3次元構造を決定した。その結果、EVH1ドメインのC末端側に存在するαヘリックスは2回転分これまでよりも長いことが明らかとなった。またそれ以降の部分は特定の2次構造を持たないループ構造を形成していた。138-142残基(SPLTP配列)の5残基部分は、結晶格子中における隣の分子のEVH1ドメインに結合していた。この結合領域はmGluRが結合するとされている領域と一致していた。PSD-Zip45はそれ自身では自己重合はおこさず、mGluRと結合することにより初めて自己重合を開始し、mGluRをシナプス後膜に局在化すると考えられている。したがって、PSD-Zip45のSPLTP配列は、mGluRが無いときには自己重合を起こさないように自分自身に結合し、mGluRが存在するとはずれてPSD-Zip45とmGluRが結合し、その後自己重合するというスイッチの役割をしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Boehlein, S. K., Nakatsu, et al.: "Characterization of inhibitors acting at the synthetase site of Escherichia coli asparagine synthetase B"Biochemistry. 40・37. 11168-11175 (2001)
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[Publications] Shimizu, T., Nakatsu, T., Miyairi, K., Okuno, T., Kato, H.: "Crystallization and preliminary X-ray study of endopolygalacturonase from the pathogenic fungus Stereum purpureum"Acta Crystallogr D. 57・8. 1171-1173 (2001)
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[Publications] Hibi, T., Hisada, H., Nakatsu, T., Kato, H., Oda, J.: "Escherichia coli B gamma-glutamylcysteine synthetase : modification, purification, crystallization and preliminary crystallographic analysis"Acta Crystallogr D. 58・2. 316-318 (2002)