2001 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質視覚野の経験依存的な機能発達におけるT型Ca^<2+>チャネルの役割
Project/Area Number |
13035018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 由美子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (10291907)
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Keywords | 視覚野 / 定量PCR法 / mRNA / T型Ca^<2+>チャネル / 暗室飼育 / シナプス可塑性 / ホールセルパッチクランプ法 / ラット |
Research Abstract |
大脳皮質視覚野の機能的な神経回路は生後発達の一時期(感受性期)の視覚入力に基づいて可塑的に形成される。この感受性期は視覚入力遮断により延長し、延びた感受性期は短期間の視覚体験により終了する。これまでに我々の研究室ではネコやラット大脳皮質視覚野ではT型Ca^<2+>チャネルの活性化を必要とするシナプス伝達効率の長期増強は感受性期に限って発生し、生後直後より暗室飼育すると成熟しても長期増強がみられ、その後短期間の正常視覚体験によりその発生も消失することを見いだした。本研究ではT型Ca^<2+>チャネル自身が発達や視覚環境の影響を受けるかを検討する目的で、正常視覚環境下で飼育した生後20-30日齢の感受性期群、60-90日齢の成熟群、出生直後から成熟するまで暗室飼育した群、暗室飼育後2日間正常視覚環境に曝露した4群のラットより作成した視覚野スライス標本を用いて実験を行った。ホールセルパッチクランプ法により2/3層錐体細胞から記録を行い、T型Ca^<2+>チャネルを選択的に活性化させ、その電流を解析した。その最大振幅は発達期に比べ成熟すると有意に減少した。暗室飼育群ではこの減少がみられなかったが、その後短期間の視覚体験により正常の成熟動物の振幅レベルまで低下した。さらにT型Ca^<2+>チャネルの発現量とサブタイプの変化を同定するために、大脳皮質で発現が報告されている各サブタイプ(α1G,α1H,α1I)のmRNAプローブを作成し、上記の動物を用いて定量PCR法を行った。現時点までにα1Gについて解析を行ったが、各群間で有意な発現量の差は認められなかった。以上により視覚反応可塑性およびシナプス可塑性の感受性期に依存してT型Ca^<2+>チャネルの機能が変化することが示唆されたが、現在のところ影響を受けるサブタイプについては不明である。
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