2001 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内アミロイドβ誘導性ニューロン死と家族性アルツハイマー病の分子メカニズムに関する研究
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13035034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大八木 保政 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (30301336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田平 武 国立長寿科学研究センター, センター長 (80112332)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / p53 / プロモーター / ニューロン / アポトーシス / 熱ショック |
Research Abstract |
現在、アルツハイマー病(AD)脳におけるニューロン死の主原因は、細胞外に沈着する不溶性のアミロイド蛋白による細胞毒性と考えられており、その不溶性蛋白の主成分はアミロイドβ蛋白42(Aβ42)である。しかし最近、我々は細胞内Aβ42がニューロン死に極めて重要な働きをすることを見出した。 我々はまず、培養神経細胞にAβをトランスフェクトし、大量に細胞内Aβを発現する系を作成した。Aβ42を過剰発現させた系では、p53mRNAの発現増加が認められた。一方、Aβ40のトランスフェクトではそのような作用は軽微であった。Gel mobility shift assayにより、Aβ42のプロモーター領域の、特に熱ショック反応領域にAβ42が特異的に結合することを見出した。さらに、細胞内においては、未知の核蛋白がAβ42のプロモーター結合能を調節していることが明らかになった。一方、Aβ42によりp53過剰発現した細胞ではアポトーシスが誘導され、この現象はp53-dependentであり、細胞内Aβ42による細胞死の主要経路であると考えられた。さらに、培養細胞で見られたこのような神経細胞死がAD脳で実際に起こっているか検討するために、ヒト脳組織を用いて、ウェスタンブロット解析および免疫染色を行った。P53蛋白レベルはAD脳で約2倍に増加しており、二重免疫染色では少数のニューロンでAβ42とp53の沈着を認めた。 以上の結果から、AD脳における大量のニューロンの脱落という現象が、これまで想定されているように細胞外のアミロイド物質沈着によるものだけではなく、ニューロン内におけるAβ42の代謝・機能異常が転写異常を介して直接ニューロン死を促進する経路が存在すると推察された。現在、アミロイド前駆体蛋白(APP)に変異を持つ家族性ADのモデルマウスを利用して、細胞外Aβ42の沈着とp53発現の経時的変化を解析中であり、細胞内Aβ42異常のin vivoにおける重要性を検討中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ochi.H.et al.: "Tc1/Tc2 and Th1/Th2 balance in Asian and Western types of multiple sclerosis, HAM/TSP and hyperlgEaemic myelitis"Journal of Neuroimmunology. 119. 297-305 (2001)
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[Publications] Miyoshi, Y. et al.: "A novel autosomal dominant spinocerebellar ataxia (SCA16) linked to Chromosome 8q22.1 -24.1."Neurology. 57. 96-100 (2001)
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[Publications] Matsumoto, S. et al.: "Periodic alternating nystagmus in a patient with multiple sclerosis"Neurology. 56. 276-277 (2001)
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[Publications] Osoegawa, M. et al.: "Localized myelitis caused by visceral larva migrans due to Ascaris suum masquerading as an isolated spinal cord tumour"Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry. 70. 265-266 (2001)
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[Publications] Tanaka, K. et al.: "Suppression of transthyretin expression by ribozymes : implication for a gene therapy for familial amyloid polyneuropathy"Journal of the Neurological Sciences. 183. 79-84 (2001)