嗅覚情報処理機能単位としの嗅球糸球体についての定量的、定性的解析

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13035035
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 小坂 克子 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (60202058)
• Keywords: 解剖学 / 細胞・組織 / 神経科学 / 脳・神経 / 共焦点顕微鏡

Research Abstract

本研究では我々の解析から異なった構成であることを証明した哺乳類齧歯目と食虫目の嗅球糸球体において嗅入力、投射ニューロン、2グループの介在ニューロンの結合関係を定性的、定量的に詳細に解明することを目的としている。近年の哺乳類の嗅覚系匂い伝達の研究は齧歯目中心であるが、ジャコウネズミは有胎盤動物の起源の類縁種で霊長類と同じ有爪区に属す。ジャコウネズミでは、糸球体-僧帽・房飾細胞系と小巣体-タッセル細胞系の投射が平行して行われ、それらが密接に関係しているので、両方向性のトレーサーの細胞外注入実験を行った。その結果、嗅球内から小巣体に向かって、軸索突起が限局して収束していることが判明した。これまで小巣体内は糸球体に向かう僧帽・房飾細胞が通過する他、タッセル細胞の密集した樹状突起が限局しているが、嗅細胞の軸索の侵入はほとんどない領域であり、タッセル細胞への入力が不明であった。これらの小巣体への軸索突起の限局は、嗅球内からの入力を示唆しており、電子顕微鏡解析から結合関係を調べるとともに、嗅球内からの入力の起源を突きとめる実験を進めているので、ジャコウネズミの嗅球神経回路の解明が進んだ。ラットにおけるトレーサー実験からは、糸球体内での僧帽・房飾細胞と介在ニューロンの結合関係の解析から、従来考えられてきたものよりそれらが非常に複雑であることが判明してきている。これらから、複雑な空間的パターンを再構築し三次元情報を得ているので、さらに電子顕微鏡解析することにより、嗅覚情報処理の初段階の構造的基盤を明らかにできると考えられる。

Research Products

• [Publications] K.Kosaka, T.Kosaka: "Nidus and Tasseled cell : Distinctive neuronal organization of the main olfactory bulb of the laboratory musk shrew (Suncus murinus)"Journal of Comparative Neurology. 430. 542-561 (2001)
• [Publications] K.Kosaka, K.Toida, Y.Aika, T.Kosaka: "Structure of intraglomerular dendritic tufts of mitral cells and their contacts with olfactory nerve terminals and calbindin-immunoreactive type periglomerular neurons"Journal of Comparative Neurology. 440. 218-235 (2001)
• [Publications] 小坂 克子: "ブレインサイエンス・レビュー 2001"(財)ブレインサイエンス振興財団 伊東 正男 川合 述史 編集 株式会社 医学書院. 292 (2001)