2001 Fiscal Year Annual Research Report
免疫系特異的新規CDMファミリー遺伝子HCHを介した細胞骨格制御の分子機構
Project/Area Number |
13037026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60243961)
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Keywords | 細胞骨格 / CDMファミリー分子 / DOCK2 / ノックアウトマウス / ケモカイン / リンパ球遊走 |
Research Abstract |
免疫細胞は、種々の感染源に迅速に対処すべく生体内を常にパトロールしている。このように構成細胞が絶えず動き回るという特徴は、他の生命複雑系においては認められない。胸腺、骨髄といった1次リンパ組織で分化したT及びBリンパ球は、脾臓、リンパ節、パイエル板といった2次リンパ組織の特定のコンパートメントへ移動することでリンパ濾胞を構築する。これまで、リンパ球の移動がケモカインと総称されるタンパク質によって誘導されることは知られているが、リンパ球の運動性を制御する分子機構は不明であった。細胞運動には、細胞の極性化と細胞骨格の再構築が必須であり、これらはいずれもRho、Rac、Cdc42などの低分子量G蛋白質によって制御されている。我々は、マウス胸腺cDNAライブラリーにより線虫およびショウジョウバエにおいて細胞運動を制御することが知られているCDMファミリーに属し、免疫系特異的に発現する遺伝子DOCK2を単離した。そして、その生理的機能をノックアウトマウスを作製することで解析した。DOCK2欠損マウスのリンパ球は種々のケモカイン刺激に対して遊走せず、その結果リンパ濾胞の萎縮、辺縁帯B細胞の消失等さまざまな免疫系の構築異常を呈した。野生型マウスのリンパ球をケモカインで刺激するとRacの活性化及びアクチンの重合が観察されたが、ノックアウトマウスのリンパ球においてはこれらの反応が消失していた。以上より、DOCK2はRacを活性化し細胞骨格の再構築を促すことでリンパ球の運動性を制御する重要な分子であり、その欠損が免疫系の構築に多大な影響を与えることを明らかにした。
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[Publications] Fukui Y: "Hematopoietic cell-specific CDM family protein DOCK2 is essential for lymphocyte migration"Nature. 412. 826-831 (2001)
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[Publications] Oono T: "Organ-specific autoimmunity in mice whose T cell repertoire is shaped by a single antigenic peptide"J. Clin. Invest.. 108. 1589-1596 (2001)
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[Publications] 福井 宣規: "CDMファミリー分子DOCK2によるリンパ球遊走の制御"細胞工学. 20. 1549-1551 (2001)
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[Publications] 福井 宣規: "リンパ球遊走に不可欠なCDMファミリー分子DOCK2"実験医学. 19. 2409-2412 (2001)