2001 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原体認識機構としての受容体型キナーゼーリガンド相互作用に関する研究
Project/Area Number |
13039001
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 卓 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20271710)
|
Keywords | シロイヌナズナ / 受容体型プロテインキナーゼ / リガンド / 2ハイブリッド法 / エリシター |
Research Abstract |
植物病原抵抗性に関する突然変異体を用いた解析から、病原認識機構の一つとして、いわゆる受容体型プロテインキナーゼの関与が示唆されている。本研究では、シロイヌナズナから遺伝子単離したいくつかの受容体型キナーゼについて、その細胞外受容体領域と相互作用しうるポリペプチドを、酵母の2ハイブリッド法を用いて探索し、さらに、耐病性向上という視点から、これらをエリシターを代用する生理活性ペプチドとして利用し、受容体型キナーゼを介した信号伝達の人為的操作を可能にすることを目指した。 細胞外領域にロイシンリピートの特徴をもつシロイヌナズナの2つの受容体型キナーゼ、ERECTAとHAESAに注目して、2ハイブリッド実験用のプラスミドを構築した。ERECTAは、その変異株から花序形成に関わることがわかっていたが、HAESAは、サリチル酸によって遺伝子発現が強く誘導され、病原抵抗反応への関与が示唆されること、T-DNA挿入変異株を単離して形態変異を示さないことを明らかにした。これらを用いて、16アミノ酸をコードするランダムオリゴヌクレオチドおよびHela細胞由来cDNAの各ライブラリーを探索し、相互作用するいくつかのクローンを得た。 他方、得られたポリペプチドを植物において細胞外に分泌するように発現させる方法として、細胞壁タンパク質PDF1のシグナルペプチドの有効性を検討した。PDF1のN末端シグナルペプチドとGFPとの融合タンパク質をシロイヌナズナに発現させたところ、GFPの蛍光から細胞外への局在を示唆する結果を得た。今後は、熱ショックプロモーターを用いて、ポリペプチドを誘導的に発現、細胞外に分泌する形質転換植物を作出し、誘導的な表現型の有無、病原抵抗反応関連遺伝子の発現の変動について、変異株と比較しながら解析をすすめる。
|