2001 Fiscal Year Annual Research Report
イネゲノムに見出されたツングロウイルス断片の構造と機能に関する分子的基礎
Project/Area Number |
13039003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
貴島 祐治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60192556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 芳雄 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70109528)
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Keywords | イネ / イネツングロ・バシリフォーム・ウィルス(RTBV) / 植物ウィルス / ゲノムへの挿入 |
Research Abstract |
本研究は,まず,イネゲノムに内在するイネ・ツングロ・バシリフォーム・ウイルス(RTBV)相同配列の詳細な構造解析を行い,これら相同断片の構造からRTBVがイネに取り込まれたことの妥当性を検証する。種々のイネ属植物ゲノムに対して,RTBVゲノムそのものをプローブとした場合と,イネゲノムに存在するRTBV相同断片をプローブとした場合では,明らかにハイブリダイゼーションのパターンは異なっていた。従って,現存するRTBVは,イネゲノムに存在するRTBV様配列とはかなりの構造差違のあることが予想できる。実際に,両者の塩基配列は最も似通った部位で60%の相同性となるが,その他の部位では,40%を下回る部位もある。そこで,イネゲノムにあるRTBV様配列をデータベースから検索した。最初にRTBV様配列を見いだしたwaxy座近傍のコピーと全体的に高い相同性を有している配列が他に3箇所出現した。これらの配列は,互いに高い相同性(90%以上)を有しているものの,逆位によって再編成が生じていた。それぞれの逆位の位置はまちまちであったが,再編成部位を順々に並べ換えた結果,約7.5kbの環状構造を有する配列が再構築された。つまり,RTBV様配列のゲノムへ挿入は環状の配列によって起き,逆位の発生は環状配列のゲノムへの挿入位置によって決まったと推定できる。また,4つのRTBV様断片からコンセンサス配列をとると,3つのORFが想定された。最も長いORFにはRTBVのORF3と同一の機能タンパク質がコードされていた。これら遺伝子の必須アミノ酸モチーフは高度に保存されていた。しかし,RTBVにあるORF2と4をこのコンセンサス配列は欠いていた。現在,インディカ系統のゲノムより多数の相同断片を単離し,構造比較を行っている。ジャポニカとインディカ間のRTBV様配列の比較を通じて,現在のRTBVの祖先型ウイルスとの関係をより詳細に推定するとともに,植物ゲノムとウイルスゲノムの進化速度の違いについても解析を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ken Kitamura: "Position effect of the excision frequency of the Antirrhimun transposon Tam3 : implications for the degree of position-dependent methylation in the ends of the element"Plant Molecular Biology. 47. 475-490 (2001)
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[Publications] 貴島 祐治: "植物トランスポゾンの転移機構に関する分子育種学的研究"育種学研究. 3・3. 169-175 (2001)