2001 Fiscal Year Annual Research Report
病原微生物シグナルの認識・伝達における植物細胞膜上の初期応答反応の分子機構
Project/Area Number |
13039015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
朽津 和幸 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (50211884)
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Keywords | 細胞死 / エリシター / カルシウムイオン / 過敏感反応 / イオンチャネル / タンパク質リン酸化 / 細胞周期 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
タバコ培養細胞BY-2と、精製したタンパク質性エリシターを用いて、同調的に過敏感細胞死が誘導される実験系を確立した。この細胞死は、低濃度の陰イオンチャネル阻害剤やプロテインキナーゼ阻害剤によって濃度依存的にほぼ完全に抑制されたことから、プログラム細胞死の誘導過程において、イオンチャネルを介したイオンフラックスやタンパク質リン酸化が関与する可能性が考えられた。エリシター処理直後に、一過性で二相性の[Ca^<2+>]_<cyt>変化、持続的なCl^-efflux、持続的な二相性のpH変化など一連のイオンフラックスが誘導た。同時に活性酸素の生成も観察された。二相性の[Ca^<2+>]_<cyt>変化の1山目は細胞外からのCa^<2+>動員、2山目はホスフォリパーゼを介した細胞内Ca^<2+>ストアからのCa^<2+>動員である可能性が示唆された。Ca^<2+>動員の分子機構を解明するため、電位依存性Ca^<2+>チャネル候補遺伝子を探索、同定し、クローニングを行った。細胞外のCa^<2+>がCl^-effluxの誘導に必要であると共に、陰イオンチャネルがイオンフラックスカスケードの上流でその調節に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。細胞死に伴い、ミトコンドリアの膜電位脱分極が誘導されることが示唆された。この細胞死誘導過程における細胞の形態変化を解析したところ、細胞質の凝集、収縮が観察され、また液胞の膨張、崩壊が誘導されている可能性が示唆された。細胞分裂を同調化した後、G_1期の細胞にエリシターを処理すると、G_1/S期で細胞周期が停止した。またS期の細胞にエリシターを処理すると、細胞周期はG_2/M期で移行を停止した。エリシターが二つのチェックポイントの両方で細胞周期を停止させ、細胞の増殖から死への転換の引き金を引くと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kuchitsu, K., Ward, J.M., Allen, G.J., Schelle, I., Schroeder, J.I.: "Loading acetoxymethyl ester fluorescent dyes into the cytoplasm of Arabidopsis and Commelina guard cells"New Phytologist. 153. 527-533 (2002)
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[Publications] Uchimiya, H., Fujii, S., Huang, J., Fushimi, T., Nishioka, M., Kim, K.-M., Kawai, M., Kurusu, T., Kuchitsu, K., Tagawa, M.: "Transgenic rice plants conferring increased tolerance to pathogens and multiple environmental stresses"Molecular Breeding. (印刷中). (2002)