2002 Fiscal Year Annual Research Report
コンディショナル・ノックアウトマウスを用いた運動学習の分子機構解析
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13041014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 寿 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00239617)
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Keywords | コンディショナル・ノックアウト / グルタミン酸受容体 / 運動学習 / 遺伝子組み換え酵素Cre / NMDA受容体 / GluRδ2 / 遺伝子組み換え酵素FLP |
Research Abstract |
本研究は、運動学習に関わる小脳皮質および線条体の特定神経細胞においてシナプス機能分子の遺伝子欠損を誘導するコンディショナル・ノックアウトマウスを作成し運動学習行動に与える影響を解析することにより、運動学習に関わる神経細胞や神経回路の役割および分子機構を解明する事を目的とした。標的分子として、学習行動の制御において中心的役割を担うと考えられるNMDA型グルタミン酸受容体(GluR)チャネルサブユニット、および小脳プルキンエ細胞特異的に発現しシナプス形成とシナプス可塑性の中心分子と考えられるGluRδ2サブユニットに焦点を絞りマウス系統の作成を行い、目的のマウス系統を得た。これらのマウスでは予想されたように脳部位特異的遺伝子欠損が確認されたので、現在表現型の解析を進めている。さらに以下の一連の成果を得て論文発表を行った。 1)小脳プルキンエ細胞特異的GluRδ2KOマウスでは、瞬目反射条件付けを用いた学習学習課題のうち、条件刺激と非条件刺激が重なる課題ができない一方、これらの刺激が重ならない課題は学習可能であった。GluRδ2KOマウスで可能であった学習はスコポラミン投与で阻害されること、海馬の破壊により障害されることを見い出し、小脳可塑性が障害されたマウスにおいて海馬が重要な機能を果たしていることが結論された。 2)ES細胞を用いたコンディショナルな標的遺伝子組み換えマウスにおいては、細胞選択時に用いた薬剤耐性遺伝子を除去する必要がある。個体レベルで薬剤耐性遺伝子を除去する為に、導入薬剤耐性遺伝子に組み換え酵素FLPの認識配列FRTを導入すると共に,生殖細胞系列でFLPを発現するマウスを作成し、個体レベルでの薬剤耐性遺伝子の除去が高効率で可能であることを示した。 3)新たなゴルジ体特異的蛋白を同定し、発現分布を明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Takatsuki et al.: "Scopolamine impairs eyeblink conditioning in cerebellar LTD-deficient mice"NeuroReport. 13. 159-162 (2002)
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[Publications] Miyamoto et al.: "Lower sensitivity to stress and altered monoaminergic neuronal function in mice lacking the NMDA receptor ε4 subunit"Journal of Neuroscience. 22. 2335-2342 (2002)
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[Publications] Takeuchi et al.: "Flp recombinase transgenic mice of C57BL/6 strain for conditional gene targeting"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 293. 953-957 (2002)
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[Publications] Uemura et al.: "Isolation and characterization of Golgi apparatus-specific GODZ with the DHHC zinc finger domain"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 296. 492-496 (2002)
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[Publications] Takatsuki et al.: "The hippocampus plays an important role in eyeblink conditioning with a short trace interval in glutamate receptor subunit δ2 mutant mice"Journal of Neuroscience. 23. 17-22 (2003)