2001 Fiscal Year Annual Research Report
発達期視覚野ニューロンの形態学的可塑性と神経栄養因子の役割
Project/Area Number |
13041031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
畠 義郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40212146)
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Keywords | 一次視覚野 / 眼優位性コラム / 視覚遮断 / 生後発達 / 神経栄養因子 / ネコ / 可塑性 |
Research Abstract |
発達期の哺乳類視覚野は視覚環境変化に対して高い可塑性を示すが、近年、神経栄養因子とりわけ脳由来神経栄養因子(BDNF)が、この可塑性において重要な役割を果たす機能分子として注目されている。例えば、この時期の動物に片眼視覚遮断を行うと、視覚野ニューロンのほとんどは視覚遮断した眼に対する反応性を失うが、この時、BDNFを視覚野に投与しておくと、視覚遮断の効果が減弱あるいは反転することが報告されている。さらに、我々はTransneuronal labeling法により、仔ネコ視覚野にBDNFを慢性的に投与すると、眼優位コラムが拡大するという結果を報告した。このことはBDNFが発達期の視覚野において、視床からの入力線維の皮質内分布に影響を与えうることを示す。 しかし、コラム拡大がどのような仕組みによるものかを探るにはこの方法では充分ではなく、さらに、入力線維の形態がどのような変化を示したかについてより詳細に調べる必要がある。そのため、BDNFを投与した視覚野において、入力線維の単一軸索の形態を定量的に解析した。仔ネコ視覚野にBDNFを2週間投与すると共に、外側膝状体にBiotinylated dextranamine(BDA)を電気泳動的に投与し、その軸索を順行性に標識した。そして、入力線維軸索をコンピュータ上で3次元的に再構成し、免疫組織学的に同定したBDNFが投与されていた皮質領域とそれ以外の領域で、軸索形態を比較した。その結果、BDNF投与領域における入力線維軸索は、対照皮質のものに比較して軸索分岐が少なく、また軸索密度の最大値が低い傾向にあった。Transneuronal labeling法により観察される眼優位コラムの拡大効果とあわせて考えると、BDNFの効果は1)反対側の眼に対するコラムでの軸索の伸長、および2)同側眼コラムの軸索密度の高い領域での軸索の退縮という2種類の作用を含むと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Katoh-Semba et al.: "Induction of brain-derived neurotrophic factors by convulsant drugs in the rat brain : Involvement of voltage-dependent calcium channels"Journal of Neurochemistry. 77. 71-83 (2001)
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[Publications] Jiang et al.: "Brain-derived neurotrophic factor induces long-lasting potentiation of synaptic transmission in visual cortex in vivo in young rats, but does not in the adult"European Journal of Neuroscience. 14. 1219-1228 (2001)