2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13041046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中越 英樹 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50314662)
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Keywords | ショウジョウバエ / 視覚認識 |
Research Abstract |
昆虫の脳は、人間などと比べればはるかに少数の神経細胞群から構成されているにもかかわらず、大きな複眼からの視覚情報入力をもとに障害物の位置や動きを瞬時に判断して対応する飛翔昆虫など、非常に高度な情報処理能力を有している。ショウジョウバエの視覚認識行動に異常を示す突然変異体の原因遺伝子として同定したdefective proventriculus(dve)遺伝子は、ホメオボックスを持つ転写制御因子である。腸管細胞における機能解析の結果、dve遺伝子は腸管の吸収機能特性を制御していることが明らかとなった。Dveの発現は脳でも認められ、脳においては視覚認識に関わる機能特性を制御しているものと考えられる。実際に、dve遺伝子上流の発現制御領域によって標識される神経細胞群(Dve標識細胞)の軸索は視覚中枢に投射していた。 Dve標識細胞は、光受容細胞の投射先であるlaminaにも存在したが、その遺伝子発現は成虫においてのみ観察された。一方、Dve抗体による染色では、成虫laminaでの発現は検出されず、蛹期のlamina予定域での発現が確認された。腸管および翅原基における解析の結果、dve遺伝子の一過性発現が機能特性を付与するために重要であることから、蛹期におきる一過性のdve発現が視覚認識に関わる神経回路網形成に果たす役割を検討した。 蛹期laminaのDve発現細胞を標識できるようなGAL4エンハンサートラップ系統のスクリーニングを行い、特徴的な発現を示すいくつかの系統を得ることができた。今後、これらの系統を用いて、Dve抗体陽性細胞、Dve,標識細胞との同一性を検討し、視覚認識行動との関連を検討していく予定である。
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