2002 Fiscal Year Annual Research Report
In vivoパッチクランプ法による卵巣摘出ラット脊髄セロトニン受容体の可塑性
Project/Area Number |
13041047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 恵 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10140641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古江 秀昌 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20304884)
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Keywords | セロトニン / in vivoパッチクランプ記録 / 脊髄膠様質 / 脊髄スライス / 痛み / エストロゲン / 卵巣摘出 / 受容体発現 |
Research Abstract |
脊髄スライス標本を用いた実験から、骨粗鬆症モデルである卵巣摘出ラットでは、痛みを伝える無髄のC線維終末に発現しているセロトニン受容体が減少し、グルタミン酸の放出抑制が起こらず痛覚過敏が起こることを見いだした。しかし、スライス標本を用いた実験では、C線維がどのような感覚情報を脊髄に伝えているかを知ることはできない。そこで、in vivoパッチクランプ法を用いて、皮膚刺激によって誘起される応答を脊髄膠様質細胞から記録し、C線維の機能的な役割とセロトニンの作用機序を検討した。ラット腰部で椎弓切除を行い、脳脊髄固定装置にセットした後、約30度の角度で電極を刺入し、膠様質細胞からパッチクランプ記録を行った。後肢皮膚に触および痛み刺激を加えると、全ての細胞でEPSCが記録され、これらはCNQXで完全に抑制された。触および痛み応答の振幅には有意差がみられなかった。次に卵巣摘出ラットを用いて同様の実験を行ったところ、痛み刺激応答の振幅が触刺激のそれより有意に大きかった。これは、痛みを伝えるC線維終末に発現するセロトニン受容体が減少し、グルタミン酸放出抑制が起こらなくなるためと考えられた。次にセロトニン作用を比較検討した。セロトニンは正常ラットにおいては触および痛み刺激応答を同程度に抑制したが、卵巣摘出ラットでは、触刺激応答は抑制されたものの痛み刺激応答は抑制を受けなかった。スライス標本を用いて得られた実験結果と併せて考えると、触刺激応答は主にAδ線維によって、また、痛み刺激応答はC線維によって運ばれていると考えられることから、セロトニン受容体はAδとC線維終末に発現しているが、卵巣摘出を行うとC線維のセロトニン受容体のみが減少し、痛覚過敏が誘起されるものと考えられた。これらの結果はエストロゲンによってセロトニン受容体の発現がコントロールされていることを示唆する。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Nakatsuka T et al.: "Activation of central terminal VRl receptors and abATP-sensitive P2x receptors reveals a converged synaptic activity onto the deep dorsal horn neurons of the spinal cord"Journal of Neuroscience. 22/4. 1228-1237 (2002)
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[Publications] Luo C et al.: "Anandamide inhibits excitatory transmission to rat substantia gelatinosa neurons in a manner different from that of capsaicin"Neuroscience Letters. 321. 17-20 (2002)
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[Publications] Matsumoto N et al.: "GABA-mediated inhibition of glutamate release during ischemia in substantia gelatinosa of the adult rat"Journal of Neurophysiology. (in press). (2003)
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[Publications] Kawasaki Y et al.: "α2 adrenoceptor-mediated presynaptic inhibition of primary-afferent glutamatergic transmission in rat substantia gelatinosa neurons"Anesthesiology. (in press). (2003)
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[Publications] Yang K et al.: "Pre-and postsynaptic inhibition mediated by GABA receptors in rat ventrolateral periaqueductal gray neurons"Biochemical and Biophysical Research Communications. (in press). (2003)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "骨粗鬆症の痛みの発生とカルシトニンによる静痛作用"Clinical Calcium. 11・9. 1153-1157 (2002)
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[Publications] 伊藤 彰敏 et al.: "OVXラットにおけるエルカトニンの抗侵害受容(鎮痛作用)-エストロゲンとの比較-"Osteoporosis Japan. 10・2. 227-229 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "痛覚受容イオンチャネル-痛み刺激のコーディングとイオンチャネル-"医学のあゆみ. 201・13. 1171-1175 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "脊髄痛覚伝達系の可塑性-慢性炎症による痛覚過敏の発生機序-"医学のあゆみ. 203・1. 21-24 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "下行性痛覚抑制系とその可塑性"Clinical Neuroscience別冊. 20・10. 1122-1125 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "脊髄スライスおよびin vivoパッチクランプ法を用いた脊髄後角における痛覚伝達系の機能解析"麻酔. 51. S79-S88 (2002)
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[Publications] Lao L-J et al.: "Cellular mechanisms for the inhibition by adenosine of pain transmission in the spinal dorsal horn"Pain Research. 17・2. 63-68 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "痛みの脊髄機構"痛みと臨床. 2・3. 353-355 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "脊髄後角の可塑性と痛み"脳21. 6・1. 42-47 (2003)
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[Publications] 古江 秀昌 et al.: "脳機能の解明-生命科学の主潮流-"ガイア出版会. 570 (2002)
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[Publications] 片渕 俊彦 et al.: "脳機能の解明-生命科学の主潮流-"ガイア出版会. 570 (2002)