2001 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度律動性バースト発火に依存して発現する同期化生成神経回路
Project/Area Number |
13041049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
姜 英男 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50177755)
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Keywords | 大脳皮質 / ガンマ帯脳波 / 律動性高頻度バースト発火 / doublet spiking / coherence / 同期化 / 周期的活動 / シミュレーション |
Research Abstract |
霊長類研究所との共同研究により、律動性高頻度バースト発火(Fast Rhythmic Burst firing)を示すFRB細胞がサルの前頭連合野において多数見られたが、こうした細胞は、学習課題の遂行と関連してバースト発火の頻度を20Hz付近から70Hz付近まで素早く上昇させ、それに伴って、近傍の細胞の活動が非常に迅速に同期化されることを見出した(2001年度、日本神経科学会)。即ち、バースト発火の周期が高頻度になるに伴い、異なる神経細胞集団間の発火活動のcoherenceが上昇した。本年度は、予定を変更して、FRB細胞のコンピュータ・シミュレーションを行い、そうしたFRBニューロンを少数結合させたネットワークを構成し、coherenceがどのように変化するかのシミュレーションを行った。FRBパターンはカチオン・チャネルのカルシウム感受性の増加とともに、doublet, triplet, quartet spikingパターンに変化していくが、doubletからtriplet、或いはtripletからquartet spikingに変化させた瞬間に最も、任意の二細胞間において、活動の同期化の程度(coherence)が増加する結果となった。このシミュレーション結果は、実際にサルの前頭連合野で観察された結果と異なるが、その相違はシナプスにfrequency facilitationを想定すれば解消されると考えられる。神経細胞の周期的活動は、神経細胞群の活動の同期化に必要であり、ある特定の細胞から観察した他の細胞の同期化の程度(coherence)を時空間座標軸に表現することにより、ゼロか1の二値情報しか持たない神経細胞群の情報量が飛躍的に増大する可能性が示唆された(Aoyagi et al., 2001)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takada M: "Immunohistochemical localization of voltage-gated calcium channels in substantia nigra dopamine neurons"European Journal of Neuroscience. 13. 757-762 (2001)
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[Publications] Aoyagi T: "A bursting mechanism of chattering neurons based on Ca^<2+>-dependent cationic currents"Neurocomputing. 38-40. 93-98 (2001)
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[Publications] 姜 英男: "脳の情報表現(第11章 大脳皮質の錐体細胞とガンマ周波数帯のバースト発火-FRBニューロンのモデル-)"朝倉書店. 10 (2002)