2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13041064
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
遠藤 昌吾 理化学研究所, 神経回路メカニズム研究グループ, 上級研究員 (60192514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 敏男 理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, 研究員 (80252526)
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Keywords | 一酸化窒素 / 小脳 / LTD / ERK / MAPK / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
本研究では非陳述記憶に必須な小脳の神経可塑性をになう長期抑圧(LTD, long-term depression)の分子機構を解明する。小脳依存性学習や小脳LTDに必須なNO(一酸化窒素)カスケードに着目し、本申請者らが初めてcDNAを同定した小脳に特異的に存在するG-substrateの生理的役割りを解析するために、G-substrate遺伝子欠損マウスを用いてその学習機能とLTDに対する影響を詳細に解析し、さらに、小脳LTDに関与が示唆されているMAPK(Mitogen Activated Protein Kinase)カスケードとNOカスケードの間クロストークについて詳細に検討するために、ERK2遺伝子欠損マウス作出を行い、以下の結果を得た。 G-substrate遺伝子をホモに欠損したマウスは正常に交配し、見かけ上小脳失調等の症状は示さなかった。しかし、小脳LTDを惹起する3種類のプロトコール;登上線維と平行線維との低頻度同時刺激、高出力の平行線維単独刺激、登上線維と平行線維との中頻度同時刺激、いずれのプロトコールでもLTDは観察されなかった。 我々は一酸化窒カスケードとMEK-ERK1/2カスケードが相互作用していることを示した。ERK1とERK2は90%以上の相同性を持ち、お互いにその機能を補うと考えられることから、遺伝子欠損マウスによる機能解析には両方の遺伝子を欠損したマウスの作出が必要である。本研究ではERK1遺伝子を欠損したマウスの遺伝子にloxP配列でERK2遺伝子を囲んだ遺伝子を持つマウスを作出した。このマウスはCreを発現するマウスと交配することにより、Creを発現した細胞のみでERK2を欠損させることが可能である。今後このマウスと様々なCre発現マウスと交配し、ERK2の機能解析を行う予定である。
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[Publications] H.Nishiyama, et al.: "Glial protein S100b modulates long term neuronal plasticity"Proc. Natl. Acad. Sci.. 99. 4037-4042 (2002)
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[Publications] S.Endo et al.: "Thr123 of rat G-substrate contributes to its action as a protein phosphatase inhibitor"Neurosci. Res.. (In press).
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[Publications] Q.-L.Li et al.: "Causal relationship between the loss of RUNX3 expression and gastric cancer"Cell. 109. 113-124 (2002)
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[Publications] T.Nakashiba et al.: "Complementary expression and neurite outgrowth activity of netrin-G subfamily members"Machanisms of Development. 111. 47-60 (2002)