2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷と複製完了をモニターするチェックポイント制御
Project/Area Number |
13043043
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中西 真 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40217774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹伊田 浩行 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20336671)
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Keywords | 遺伝子 / 核酸 / 癌 / ゲノム / シグナル伝達 |
Research Abstract |
真核細胞は自己の染色体DNAを安定に維持するために、DNA複製を完了するまで細胞分裂を開始しない。しかしながら、細胞がDNA複製完了前に分裂を開始した場合には、分裂破局を示して死に至ることが知られている。この細胞死を制御する分子機構を明らかにする目的で、premature mitosisを誘導する細胞系を確立して解析を行った。Cre/loxPシステムを用いてChk1遺伝子をコンディショナルに欠損させたES細胞は、異常なサイクリンB-Cdc2の活性化によりpremature mitosisを引き起こして死に至る。この時、核内からのヒストンH1.2の遊離が引き金となり、チトクロムcの放出からカスパーゼ3および9の活性化が認められた。実際、分裂破局による細胞死はカスパーゼの阻害剤で強く抑制された。さらにアポトーシスに至る情報伝達系を解析したところ、Chk1欠失によりリン酸化ヒストンH2AXのFoci形成と、Chk2の活性化、p53タンパク量の増加が認められた。以上の結果から、分裂破局による細胞死にはATM/ATR-Chk2-p53経路の関与が疑われたため、細胞死に対するカフェインの効果を調べたところ、効率的に細胞死を抑制することが明らかとなった。さらにChk2およびp53欠損細胞では、分裂破局により誘導される細胞死に対して非常に抵抗性であった。以上のことから、分裂破局により誘導される細胞死は、ATM/ATR-Chk2-p53経路の活性化が必要であり、p53依存的なヒストンH1.2の核内からの放出が、ミトコンドリア依存的アポトーシスを誘導することにより引き起こされると考えられた。
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Research Products
(9 results)