2002 Fiscal Year Annual Research Report
高速昇温下におけるモリブド珪酸の構造変化とメタン水蒸気反応場の創製
Project/Area Number |
13126209
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
上野 晃史 静岡大学, 工学部, 教授 (30135420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 直人 静岡大学, 工学部, 助教授 (50192464)
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Keywords | メタン部分酸化 / ホルムアルデヒド / モリブド珪酸触媒 / 高速昇温 / α酸化モリブデン / β酸化モリブデン / 過剰水蒸気 / モリブド珪酸の熱分解挙動 |
Research Abstract |
シリカ担持モリブド珪酸(SMA)触媒はメタンの部分酸化に有効であるが耐熱性に乏しく、高温ではシリカと酸化モリブデンに分解する(H_4SiMo_<12>O_<40> = SiO_2+12MoO_3 +2H_2O)。しかし、過剰の水蒸気が存在すると逆反応も進行するので、反応中は恒常的にSMAが存在しメタンの部分酸化を促進する。このようにSMAはメタンの部分酸化を促進する活性種であるが、高温では分解と再生の微妙なバランスの上に存在するため、活性の再現性を確保することは容易でない。本研究では再現性を確保するため、以下の事項について検討した。 (1)高速昇温下におけるモリブド珪酸の熱分解挙動:本触媒は毎分100℃という高速で昇温しなければ、本来の高性能を発現しないことが分かっている。その理由を明らかにするため、高速昇温過程におけるモリブド珪酸の熱分解挙動を観測した。モリブド珪酸は30分子にも及ぶ吸着水を有しているが、これらの水分子は200℃までにほとんど脱離する。さらに昇温を続けると250℃から結晶中の水素イオンが水として脱離しはじめ、350℃ではシリカと酸化モリブデンに分解する。ゆっくりと昇温したときはα酸化モリブデンとなるが、高速昇温の場合はβ酸化モリブデンが生成する。このβ酸化モリブデンの生成が触媒活性の発現に関与していることを見出した。 (2)水蒸気供給量と触媒活性:水蒸気供給量を毎時0.75〜4.5Lまで変化させた。供給量が少ないときはメタン転化率は高いがホルムアルデヒドの選択性が低く、逆に水蒸気供給量が多いときはメタン転化率は低いがホルムアルデヒドの選択性が高くなる。その結果、ホルムアルデヒド収率は水蒸気供給量の多少によらず、ほぼ一定の値になることが判明した。水蒸気はモリブド珪酸の再生に寄与していることは明らかであるが、メタンの部分酸化反応にも関与しているかどうかは、現時点では不明である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Kido, H.Iwamoto, N.Azuma, A.Ueno: "Effects of catalyst heating rate upon activity of silica-supported silicomolybdic acid catalysts for methane partial oxidation"Catalysis Survey from Japan. vol.6, Nos1/2. 45-53 (2002)
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[Publications] A.Miyakoshi, A.Ueno, M.Ichikawa: "Mn-substituted Fe-K mixed oxide catalysts for dehydrogenation of ethylbenzene toward styrene"Applied Catalysis, A. 216. 137-146 (2002)
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[Publications] A.Miyakoshi, A.Ueno, M.Ichikawa: "XPS and TPD characterization of Mn-substituted Fe-K oxide catalysts which are selective for dehydrogenation of ethylbenzene into styrene"Applied Catalysis, A. 219. 249-258 (2001)
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[Publications] 上野 晃史(共著): "リサイクル百科事典"丸善出版. 859 (2001)