2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13127105
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
今村 隆史 独立行政法人国立環境研究所, 成層圏オゾン層変動研究プロジェクト, 総合研究官 (60184826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長門 研吉 高知工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (80237536)
佐藤 圭 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (10282815)
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Keywords | 大気化学 / 有機エアロゾル / 光酸化作用 / 芳香族炭化水素 / 光化学反応チャンバー / オゾン反応 / クラスター分級器 |
Research Abstract |
本研究では、エアロゾル生成能の測定やエアロゾル生成量の反応時間依存性からエアロゾル生成に係わる反応スキームの確立、エアロゾル生成時間に対応した組成分析から凝縮性生成物の生成機構、光化学エアロゾルおよびオゾン生成に関する新たなラジカル反応の提案、を目標としている。今年度は、都市大気で重要な人為起源炭化水素としてトルエンおよび他のアルキル置換型ベンゼンを標的分子として、その有機エアロゾル生成をもたらす反応スキームの提案およびエアロゾル生成収率の違いを生む反応の解明を行った。基本形であるNOx存在下でのトルエン光酸化反応では、エアロゾル生成量はトルエンの消費量以外にトルエンの初期濃度およびNOx初期濃度依存性を調べた。その結果、NOx初期濃度一定条件では、エアロゾル生成初期の収率がトルエン初期濃度に依存するが、充分な反応時間を経た後の生成量はトルエン初期濃度に殆ど依存しない事を見出した。一方、トルエン初期濃度一定条件下でのエアロゾル生成収量はNOx濃度に依存し、その依存性は光化学オゾン生成量のNOx依存性で説明可能である事を見出した。以上の結果からトルエンの光酸化反応生成物と光化学オゾンの反応が重要と結論した。また想定される反応速度定数から、重要となる光酸化生成物は不飽和結合を有するカルボニル化合物であると推定した。エアロゾル生成曲線に関してトルエンと類似の特徴を有しながら、エアロゾル生成収率が低いキシレンやトリメチルベンゼン類についてもエアロゾル生成量に対する炭化水素初期濃度依存性を測定した結果、エアロゾル生成はトルエン同様、光化学オゾンと光酸化生成物との反応が重要である事、また生成収率の低下はオゾンと反応するカルボニル型の生成物の収率の低下が原因である事が明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] R.Violkamer, B.Klotz, I.Barnes, T.Imamura, K.Wirtz, N.Washida, K.H.Becker, U.Platt: "Phenol-formation in the OH-initiated oxidation of benzene under atmospheric conditions"Phys.Chem.Chem.Phys.. 4. 1598-1610 (2002)
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[Publications] Y.Iida, K.Obi, T.Imamura: "Rate constant for the reaction of OH radicals with isoprene at 298±2K"Chem.Lett.. 792-793 (2002)
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[Publications] B.Klotz, R.Violkamer, M.D.Hurley, M.P.S.Andersen, O.J.Nielse, I.Barnes, T.Imamura, K.Wirtz, K.H.Becker, U.Platt, T.J.Wallington, N.Washida: "OH-initiated oxidation of benzene Part-II. Influence of elevated NO_x concentrations"Phys.Chem.Chem.Phys.. 4. 4399-4411 (2002)
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[Publications] T.Imamura, H.Chono, K.Shibuya, N.Washida: "Rate constant for the reaction of CCl_3 radicals with ozone"Int.J.Chem.Kinet.. (inpress).
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[Publications] 長門研吉: "質量分析法による大気圧負イオン反の解析"エアロゾル研究. 18. 15-19 (2003)