2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13128202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩谷 光彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60187333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 健太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40281589)
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Keywords | DNA / 金属錯体 / レドックス活性 |
Research Abstract |
生体高分子に見られる、構造・機能ユニット→一次構造→高次構造→分子機能を結ぶ構造活性・機能構築の法則性に注目して、金属錯体型人工DNAを用いた超分子レドックス系の構築法を考案した。本研究は、天然DNAの塩基対形成のドライビングフォースである水素結合を、金属配位結合に置き換えた人工DNAを創製し、遺伝子発現制御や機能性分子構築に展開した。本年度は、ピリジンやヒドロキシピリドンを核酸塩基としてもつ人工ヌクレオシドを数工程で合成し、それらが銀(I)や銅(II)イオンにより塩基対を形成することをNMR、ESI-TOF型質量分析、吸収スペクトル法により確認した。これらの塩基対をオリゴヌクレオチドに導入すべくホスホロアミダイト体に誘導し、DNA自動合成機により天然DNAオリゴマーの中央部に一つないし二つ導入することに成功した。それらの構造はMALDI-TOF型質量分析により確認した。260nm紫外可視吸光度法による融解実験により、金属イオンの存在下では、融点が上昇し二重鎖が熱力学的に安定化されることが明らかとなった。金属錯体型塩基対が核酸の内部に取り込まれたかどうかについては、銀錯体についてはNMR解析、銅錯体については紫外吸収スペクトルの変化により証明できた。マイクロモル濃度の条件下では、これらはほとんど錯体を形成しないが、核酸の内部に取り込まれることにより、多点水素結合やスタッキング相互作用が協奏的に働き、安定な錯体が形成されたと推定している。今後、さらに多くの金属錯体型人工ヌクレオチドを天然型DNAオリゴマーに導入し、金属のナノ集積化を行い、電気化学的な手法によりレドックス活性を検討する予定である。
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