2001 Fiscal Year Annual Research Report
液液界面の特異性を用いる分子認識とSHG分光法による認識機能解析
Project/Area Number |
13129201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺前 紀夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70114569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石岡 寿雄 九州大学, 大学院・総合理工学府, 助手 (60304838)
西沢 精一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40281969)
内田 達也 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30261548)
石坂 昌司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80311520)
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Keywords | 液液界面 / 界面張力 / 界面イオン移動 / 時間分解全反射蛍光 / 表面第二高調波発生 / 分子認識 / 水素結合レセプター |
Research Abstract |
液液界面分子認識について,本年度は主として,液液界面張力と液液界面イオン移動を用いた研究を展開した,液液界面における研究は主に物理化学的興味からのアプローチが多く,分子認識や化学センサー開発に目を向けた研究例は少なく,特にアニオンを対象として種々のイオノフォアの構造効果や選択性を詳細に調べた例は本研究が初めてである。 界面張力の変化により界面錯生成能を評価した結果,チオ尿素基によるアニオン認識能とクラウンエーテル基によるカチオン認識能の両者を持つレセプター分子において,脱水和エネルギーの大きなリン酸イオンに対する高い選択性が得られた。これはイオン選択性電極や溶媒抽出で見られる二相分配系の選択性とは異なる結果であり,界面特異的選択性の発現を達成できた。 また,液液界面促進移動では,チオ尿素基を認識部位とする各種レセプター分子を用いて実験した。アニオンの促進移動波が観測され,これは液液界面においてイオノフォアーアニオンが水素結合により錯形成し,エネルギー的に安定な錯体を形成することが分かった。アニオン促進移動波を詳細に解析することにより,界面反応機構解析やイオン移動化学種の同定を行い,さらに錯形成定数,及びイオン移動エネルギーなどに対する定量的知見を得た。界面とバルクとの錯形成能の序列は同列と考えるのが一般的とされているが,これとは異なる序列を与えるイオノフォアを見いだした。この選択性がバルクとは異なるという結果は分子の吸着性,疎水性・配向性等の液-液界面に特異的な支配因子を反映したものと考えられる。また,フレキシブルな構造を持つイオノフォアが,アニオンの脱水和エネルギー的には著しく不利であるリン酸イオン2分子を水相から有機相へ輸送していることも見いだした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Seiichi Nishizawa et al.: "Facilitated Transfer of Hydrophilic Anions across the Nitrobenzene-Water Interface"Chemistry Letters. 10. 1058 (2001)
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[Publications] Seiichi Nishizawa et al.: "Chloride Transfer across the Liquid-Liquid Interface"Bulletin of Chemical Society of Japan. 74・12. 2343 (2001)