2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13132207
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大矢 裕一 関西大学, 工学部, 助教授 (10213886)
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Keywords | デオキシリボ核酸 / 自己組織化 / 光エネルギー移動 / 人工光合成システム / ポリカチオングラフトポリマー / 相補的水素結合 / フェムト秒パルスレーザー / 時間分解蛍光スペクトル |
Research Abstract |
本研究の目的は、DNAの相補的水素結合を利用して光機能性クロモフォアをエネルギー順位の順で空間的に配列し、DNA二重らせんに沿った遠距離・多段階の光エネルギーのベクトル的輸送の達成することである。光エネルギーのドナー、メディエイター、アクセプターとして、三種類のクロモフォア(JOE、TAMRA、ROX)をシーケンスの異なる10残基のオリゴDNAの5'末端に導入したコンジュゲートと、これらのコンジュゲートに相補的な配列をつなぎ合わせた配列を有する30残基のマトリックスオリゴDNAから、DNA二重らせんに沿ってクロモフォアを配列化させたクロモフォア・アレイを作成した。前年度までに、定常光およびフェムト秒パルスレーザーを光源に用いた蛍光スペクトル解析により、エネルギー移動が起こることは確認していたが、二重らせんを安定化するため、低温・高塩濃度という条件が必要であった。今年度は、室温および生理条件下で効率の良いエネルギー移動を達成するため、DNA二重らせんを安定化させる働きをもつカチオン性グラフト共重合体(デキストラングラフト化ポリリシン、PLL-g-Dex)の添加効果について検討した。その結果、グラフト共重合体をDNAとのチャージ比4で共存させたところ、Tmが約28度上昇し、CDスペクトルの変化もほとんど見られなかったことから、共重合体によって二重らせんがその形態を維持したまま安定化されていることが分かった。また、定常光を用いた蛍光スペクトル測定により、低塩濃度・室温および生理的条件下においても、低温・高塩濃度の時と同程度の効率の良いエネルギー移動が起こることも確認され、本研究で作成したクロモフォア・アレイとグラフト共重合体の組み合わせが、生理条件下でのDNA検出デバイスや常温での光エネルギー変換デバイスとしての可能性を有していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Ohya (他3名): "Construction of Sequential Chromophore Arrays on Oligo-DNA Assembly and Their Energy Transfer Behavior"Supramol. Chem.. 15(1). 45-54 (2003)
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[Publications] Y.Ohya (他2名): "Sequence Dependence of Fluorescent Quenching of Chromophores Covalently Bonded to Oligo-DNAs before and after Duplex Formation"Supramol. Chem.. (印刷中).