2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13135206
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤川 和男 日本大学, 理工学部, 教授 (30013436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 泉 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (10262106)
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Keywords | 位相 / 経路積分 / 自然さ / ソリトン / 量子特異点 / 可解系 / 量子ゲーム理論 / 量子縺れ |
Research Abstract |
藤川はまず非可換時空における場の理論の量子化とその一般的な性質を研究した。とくに、Yang-Feldman形式と呼ばれるものと経路積分形式の関係を明確にした。次に、この経路積分形式を用いて、一般の非局所的な場の理論の量子化と繰り込み、およびユニタリー性を研究した。非可換性が空間座標にのみ現れる場合には、繰り込みの操作は少し複雑になるが、ユニタリー性に関しては基本的に問題がないことを示した。つぎに、時間と空間座標が非可換な場合を一般的に考察し、ユニタリー性の破れの基本的な機構を考察した。とくに、最近一部の人たちにより提案されていた修正した時間順序積に基づくユニタリー性の回復のメカニズムを考察し、このようなスキームでは必然的にエネルギーの正定値性がこわれることを示した。また、フェルミ粒子に関しては、ニュートリノの小さな質量についての一般的な考察を行った。 一方、筒井は前年から引き続いた量子特異点研究の発展として、(1)量子計算の可能性と(文献4)、(2)可解系への応用(文献5)について研究し、さらに新たな課題として(3)量子ゲーム理論における量子性の意味(現在論文準備中)について研究を行った。まず、q)に関しては、許容されるU(2)族の量子特異点を外部から制御することによって、原理的には1-qubitに対する任意のユニタリー時間発展を生成することが出来ることを示した。これは量子特異点を中央に持つ調科振動子系において、振動の半周期毎に生じる再起現象を規定する時間発展ユニタリー行列と、量子特異点を特徴づけるU(2)行列との間に、ある種の同一性が成立することを利用したものである。この系をBose-Einstein凝縮を引き起こす多粒子系として実現した場合には、他の方法で構成される素子よりも、外部からの撹乱に対して丈夫な量子計算の演算素子となる可能性がある。一方、(2)の可解系への応用として、Calogero模型(N=3)の解の一般的化を試みた。従来より知られたCalogero自身の解は、ポテンシャルの特異点での境界条件としてDirichlet型を採り、かつ固有状態を対称(boson)、反対称(fermion)状態のみに限定したものであったが、本研究では、以前に構成した量子特異点の取扱い法に基づき、2パラメーター族のより一般的な解を構築することに成功した。これはCaiogero自身の解を含むとともに、ポテンシャルの形から予想されていた、調和振動子系に連続的に移行する解をも含み、現在までで最も一般的な量子解となっている。
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