2006 Fiscal Year Annual Research Report
弦理論におけるブラックホールと非摂動的定式化の研究
Project/Area Number |
13135220
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
藤崎 晴男 立教大学, 理学部, 名誉教授 (20062648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀和 立教大学, 理学部, 教授 (60202173)
矢彦沢 茂明 立教大学, 理学部, 助教授 (00192790)
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Keywords | ブラックホールの熱力学 / Hawking-Bekensteinエントロピー / 宇宙弦 / QCD / 多パートン現象 / 重力波 / ビラソロ代数 / BRST量子化 |
Research Abstract |
藤崎: Bonnon双極子解を宇宙弦の導入により正則化し、この解が臨界Reissner-Nordstrom型ブラックホール・タブレットと同等な熱力学的特性を持つことを示した。さらにTFD形式による有限温度弦模型のループ計算にもとづき、有限温度宇宙項を再評価した。ひきつづきBrans-Dicke理論におけるKerr-Newman型ブラックホールの熱力学を考察し、この解時空が荷電および角運動量の値によらず臨界ブラックホールに対応しかつエントロピーはHawing-Bekensteinホライズン面積則を破ることを示した。 田中: QCD補正の結果を用いて多パートン現象における非可換ゲージ場の特徴を調べるために、エネルギー移行量の大きなハードな物理過程の高次項と始状態パートンからの多パートン生成とを合わせて考察した。ここで問題となるハードな物理過程と多パートン生成過程における対数発散項の処理、及びその際に現れてくる因子化処方における理論的任意性を検討した。更に、これらの評価を含めて物理過程における多パートン生成の寄与を考察した。この成果については、現在論文としてまとめる準備を行っている。 矢彦沢: 背景場上の弦理論の研究は純理論的にも、現象論的にも、また、宇宙論的にも重要である。そこで、今まで研究されていなかったフラックスを持ったpp-波(重力波の一種)背景上でのBRST形式の演算子的・共変正準量子化を行った。フラックスを持ったpp-波は当然背景場として方程式を満たしている。重要なことは弦座標を「自由モード」を用いて完全に構成したことである。ハイゼンベルク方程式と正準交換関係をこの「自由モード」表示で完全に満たすのである。特に、光円錐座標のゼロモードの役割が大切であった。また、このフラックスを持ったpp-波背景上でのビラソロ代数のアノマリを求め、さらにBRSTチャージのベキ零性を計算することによって、時空次元と正順定数を決めた。
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