2003 Fiscal Year Annual Research Report
スカラー場のダイナミックスとそれを背景とするバリオン数生成
Project/Area Number |
13135222
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
豊田 文彦 近畿大学, 九州工学部, 教授 (60088622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船久保 公一 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (60221553)
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Keywords | Baryogenesis / Phase Transition / Higgs場 / Scalar場 |
Research Abstract |
電弱相転移の時期にバリオン非対称が生じるという考え方が電弱バリオン生成である。電弱相互作用に関しては標準模型が確立しており加速器実験のデータも多くある。標準模型(又はその超対称版)を用いて宇宙論のバリオン生成が説明できるということは非常に魅力的であり、多くの仕事がなされた。 電弱相転移を決めるのはスカラー場(ヒッグズ場)の力学であるが、超対称標準模型では電弱相転移が一次であることが示唆され、バブルの成長による非平衡とスファラロンによるバリオン数の破れによりサハロフの条件が満たされる。特にCPの破れに関して、微かなCPの破れの種があるとそれが自発的対称性の破れにより拡大されるという考え方(過渡的CPの破れ)が我々のグループによって提唱され、観測値をうまく再現できることが示されたことは大きな成果であり、国外の研究者にも大きな刺激を与えた。しかしながら、この模型でバリオン生成を説明するにはヒッグズの質量について制限がつき現在の実験値はその制限を越える可能性がある。 この問題を克服するには二つの方法が考えられる。一つは二次転移におけるKibble-mechanismによる欠陥生成を考える方法で、もう一つは最小超対称標準模型(MSSM)を拡張して制限を緩める方法である。 このうち、Kibble-mechanismによる欠陥生成を考える模型ではインフレーション終了後、電弱相転移が起こるが、再加熱によって熱平衡に達する前に予加熱という非平衡状態が存在することに注目する。予加熱の段階でスカラー場のもつエネルギーがトポロジー欠陥を生じさせることが分かっている。しかしこの方法では数値シミュレーションで欠陥生成を追いかけざるを得ず、バリオン生成に関しては極めて定性的な議論しかできない。 そこで我々はもう一つのMSSMを拡張する方法であるNMSSM(Next-MSSM)を考えることにする。ここではヒッグズ場以外にSU(2)一重項のスカラー場を導入する。このスカラー場はヒッグズ場と結合することによりヒッグズの質量制限を緩める傾向があり、現在分析中である。また、過渡的CPの破れが起こり易くなるかどうかについても今後調べてゆく予定である。
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Research Products
(1 results)