2002 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論に現れる様々なブレーン及び真空の行列を用いた記述とその有効性の研究
Project/Area Number |
13135223
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
郷六 一生 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (20104812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 司 理化学研究所, 理論物理学研究室, 先任研究員 (10322603)
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Keywords | 超弦理論 / 行列模型 / RSブレイン / 構成的定式化 / 量子論 |
Research Abstract |
1.弦理論の構成的定式化の模型であるIIB行列模型について、その時空をあらわすメカニズムを解明するべく、次のような2つのアプローチを試みた。一つは基本的に10次元時空の自由度をもつ行列模型が、我々の住む4次元時空を作り出すダイナミクスを解明することを目指した。そのためにモデルを平均場近似およびそれを発展させた近似手法を用いての解析を試みた。現在も主にその手法について適用範囲や効率的な計算方法を確立するべく研究を継続中である。このようなアプローチは広く強結合系、スピン系などでとられていたものであり、物理的な直観が得られやすいため、近似手法としての有用性ばかりでなく、行列模型の系の性質をこれまで我々が良く知っている物理系との対応においてより良く理解し、ひいては行列模型の正しい物理的な解釈へと繋がるものと期待される。一方これと相補的なアプローチとして、先に考えたものとは異なる仕組みで4次元の時空が生成される可能性について萌芽的な研究を行った。これは行列の自由度の中に格子状の時空の自由度を埋め込むことにより4次元の時空の解釈を成り立たせるものであり、これが実現すれば格子ゲージ理論でのこれまでの蓄積を使って研究を進めていける可能性もあり、一つの有望なアプローチとして引き続き次年度以降も押し進めていく予定である。 2.IIB超弦理論で、D3ブレインの集積により5次元反ドジッター時空と5次元球の直積空間として得られる時空解は、AdS/CFT対応や5次元反ドジッター時空に埋め込まれた3+1次元ブレインを5次元反ドジッター時空での場の理論をもとに考察する場合の基礎を与えている。このような超弦理論的な視点からブレイン宇宙を考えるとき、確かめるべき重要なポイントは、5次元にある重力場や10次元から引き継がれたその他の場の中でどれだけが、ブレインに閉じこめられて我々の4次元世界に存在する場として認識されるのかと言う点である。最初に(i)反ドジッター時空に許されるスカラー・タキオンがブレインに進入し局在することを確かめた。これはミンコウスキ時空構造を持つブレインの不安定性につながり、このときはブレイン解自身を求める段階でタキオンを処理する必要のあることを示唆している。(ii)次に、5次元で質量を持つベクトル場が質量のないゲージ場としてブレインに局在することを確かめた。この機構はdilatonが5次元にあるときに実現される局在化と対応することが最近わかった。また一般的には、ブレインが宇宙定数を持つようになるとゲージ場は必然的に局在化することもわかってきた。(iii)最近は、RR場の果たす役割やfermion場の局在化での問題点などを考察中である。
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[Publications] K.Ghoroku, A.Nakamura: "Stability of Randall-Sundrum brane-world and tachyonic scalar"Physical Review. D64. 084028-1-084028-8 (2001)
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[Publications] K.Ghoroku, A.Nakamura: "Massive vector trapping as a gauge boson on a brane"Physical Review. D65. 084017-1-084017-6 (2002)
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[Publications] I.Brevik, K.Ghoroku, S.Odintsov, M.Yahiro: "Localization of gravity on a brane embedded in Ads_5 and dS_5"Physical Review. D66. 064016-1-064016-9 (2002)
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[Publications] K.Ghoroku, M.Yahiro: "Origin of a small cosmological constant in a brane world"Physical Review. D66. 124020-1-124020-6 (2002)
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[Publications] Hajime Aoki, Tsukasa Tada: "STRING THEORY : 10th Tohwa University International Symposium on String Theory"American Institute of Physics. 381 (2002)