2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13141204
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
梅津 桂子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (20223612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 隆 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70150349)
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Keywords | 染色体異常 / ゲノムの再編 / 遺伝的組換え / DNA損傷 / DNA修復 |
Research Abstract |
当研究ではゲノムを安定に維持する機構を分子レベルで明らかにすることを目標としている。代表者の梅津はS.cerevisiae二倍体細胞をモデルに体細胞分裂時に生じるヘテロ接合性の喪失(LOH)を引き起こす遺伝的変化を分子レベルで特定し、それぞれの頻度や染色体再編の場所についての影響を検討することにより、染色体異常の発生や制御に関わる因子の特定を進めている。これ迄に、相同組換え機構と複製後修復機構は一部の自然DNA傷害の回避に関しては補完し合うが、それぞれ特異的にゲノムの安定性に関わる面もあることが分かった。後者について知見を得るために、それぞれの欠損株で引き起こされるゲノムの変化について分子レベルで詳細に解析した。複製後修復欠損株では相同組換え機構に依存する様々な染色体再編の上昇、特にマーカーがアリル座との遺伝子変換によって失われるものが顕著な上昇を示すのに対し、相同組換え欠損株では損傷乗り越えDNA合成による特徴を示す点突然変異の上昇、中でも1塩基欠失やG:Cが連続する部位での塩基置換が好発していた。このことは、一方の機構の欠損下で他方が機能した際にはエラーを伴う形でしか傷害を回避できない場合があることを示しており、通常は2つの機構がエラーを抑制する様な制御のもとで使い分けられていることが示唆される。この使い分けに関わることが予想される因子として、(1)相同組換えを抑制する効果が報告されているSRS2遺伝子、および、(2)ゲノム変化を引き起こす原因となっているDNA傷害についての影響を解析中である。分担者の森田はマウスFBH1(F-box Helicase 1)遺伝子の機能について研究を進めている。その発現について抗体を用いて調べた所、マウスFBH1タンパク質は精巣の生殖細胞に発現しており、減数分裂期のパキテン期に強いことを明らかにした。この時期は、相同染色体が対合を終了し、組換えを起こす期間であり、それらに関与するRAD51,DMC1タンパク質が機能し終わる時期でもある。このようなタンパク質の分解とFBHタンパク質の関係に興味がもたれる。現在、マウスFBH1遺伝子をノックアウトしたマウスを作製中である。その表現型によって組換え機構への関与を明らかにすることにより、FBH1の機能を解明することができると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshida, J. et al.: "Positive and negative roles of homologous recombination in the maintenance of genome stability in Saccharomyces cerevisiae."Genetics. 164. 31-46 (2003)
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[Publications] Yoshida, J. et al.: "Expression and Radiation-induced Phosphorylation of Histone H2AX in Mammalian Cells."J.Rad.Res.. 44. 47-51 (2003)
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[Publications] Habu, T. et al.: "p53 protein interacts specifically with the meiosis-specific mammalian RecA-like protein DMC1 in meiosis."Carcinogenesis. in press. (2004)