2003 Fiscal Year Annual Research Report
アンチポーター型有機物質排出トランスポーターのナノ構造と作動機構
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13142205
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 明人 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60114336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 隆弘 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90333450)
村上 聡 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (30300966)
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Keywords | 異物排出タンパク / アンチポーター / AcrB / 結晶構造 / 部位特異変異導入 / Cys走査変異 / NEM / 多剤耐性 |
Research Abstract |
私たちは、14年度に、世界で初めて異物排出トランスポーターの結晶構造決定に成功するという成果を上げた。15年度は、私たちの決定したAcrB立体構造に基づき、部位特異的変異導入を行い、特定の構造部位の役割を明らかにした。(1)まず、ペリプラズム側頭部中央に存在する、基質透過経路と推定されるポアを構成する3本のα-ヘリックス(モノマーあたり1本)を構成する21個のアミノ酸残基すべてをCys残基に置換したところ、ポアの内側を向いた残基を置換した場合にのみ輸送活性の低下が起こることを見いだした。さらに、これらのポアの内側を向いた残基のCys置換変異体ではS-S結合による架橋形成の起こることが確かめられた。このことは、基質輸送反応の途中で、ポアを構成するヘリックスのコンホメーション変化が生じること、その変化がS-S架橋によって阻害されると輸送活性が低下することを示している。(2)膜貫通ヘリックス8はAcrB3量体の外側と、分子中央の大きな膜貫通ホールの双方に面している。そこで、膜貫通ヘリックス8を構成するすべての残基を一つずつCys残基に置換したCys走査変異体を作成しSH修飾試薬NEMとの反応性を調べた。もしこのホールが水分子で満たされたチャンネルであるならば、こちらに面したCys残基にはNEMが結合するはずである。ところが、結果は膜貫通ヘリックス8のいずれのCys置換体にもNEMは結合しなかった。これは、このホールが脂質二重層によって充填されていることを示している。(3)AcrBホモログには、保存性荷電残基が18個存在する。これらをすべてAlaに置換したところ、4置換体のみ輸送活性を全く失った。このうち2個のAspとLysは膜貫通領域中央でイオンペアを形成していた。もう一つの必須Arg残基は同じく膜貫通領域にあって、この必須イオンペアの直下に存在していた。このような必須荷電残基の配置はこれらがプロトンの透過経路を構成していることを強く示唆している。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] M.Sasaki, A.Shoji, Y.Kubo, S.Nada, A.Yamaguchi: "Cloning of rat ABCA7 and its preferential expression in platelets."Biochem Biophys Res Commun. 304. 777-782 (2003)
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[Publications] N.Kobayashi, K.Nishino, T.Hirata, A.Yamaguchi: "Membranetopology of ABC-type macrolide antibiotic exporter MacB in Escherichia coli."FEBS Lett. 546. 241-246 (2003)
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[Publications] K.Nishino, J.Yamada, H.Hirakawa, T.Hirata, A.Yamaguchi: "Roles of TolC-dependent multidrug transporters of Escherichia coli in resistance to beta-lactams."Antimicrob Agents Chemother. 47. 3030-3033 (2003)
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[Publications] H.Hirakawa, K.Nishino, J.Yamada, T.Hirata, A.Yamaguchi: "β-lactam resistance modulated by the overexpressiqn of response regulators of two-component signal transduction systems in Escherichia coli."J Antimicrob Chemother. 52. 576-582 (2003)
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[Publications] S.Murakami, A.Yamaguchi: "Multidrug-exporting secondary transporters."Curr Opin Struct Biol. 13. 443-452 (2003)
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[Publications] N.Tamura, S.Konishi, A.Yamaguchi: "Mechanisms of drug/H^+ antiport : complete cysteine-scanning mutagenesis and the protein engineering approach."Curr Opin Chem Biol. 7. 570-579 (2003)
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[Publications] S.Murakami, N.Tamura, A.Saito, T.Hirata, A.Yamaguchi: "Extra-membrane central pore of multidrug exporter AcrB in Escherichia coli plays an important role in drug transport."J Biol Chem. 279. 3743-3748 (2004)
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[Publications] K.Nishino, A.Yamaguchi: "Role of Histone-Like Protein H-NS in Multidrug Resistance of Escherichia coli"J.Bacteriol.. 186. 1423-1429 (2004)
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[Publications] T.Hirata, A.Saito, K.Nishino, N.Tamura, A.Yamaguchi: "The Effects of Efflux Transporter Genes on the Susceptibility of E.coli to Tigecycline (GAR-936),9-(t-butylglycylamido)-minocycline."Antimicrob Agents Chemother.. (in press). (2004)
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[Publications] 村上 聡: "多剤排出トランスポーターAcrBの結晶構造解析"構造生物学. 4. 155-160 (2003)
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[Publications] 村上聡, 中島良介, 山下栄樹, 山口明人: "大腸菌多剤排出トランスポーターAcrBの結晶構造解析"放射光. 16. 204 (2003)
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[Publications] 村上聡, 中島良介, 山下栄樹, 山口明人: "大腸菌多剤排出トランスポーターAcrBの結晶構造解析"日本結晶学会誌. 45. 256-261 (2003)