2004 Fiscal Year Annual Research Report
アンチポーター型有機物質排出トランスポーターのナノ構造と作動機構
Project/Area Number |
13142205
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 明人 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60114336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 聡 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (30300966)
平田 隆弘 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90333450)
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Keywords | 異物排出タンパク / 結晶構造 / 多剤排出タンパク / 部位特異的変異導入 / AcrB / フェニルアラニンクラスター |
Research Abstract |
私たちは本研究領域開始後、平成14年に世界で初めて異物排出トランスポーターのX線結晶構造決定に成功し、異物認識の原理を明らかにした。その後、異物排出トランスポーターの基質結合型結晶を作成し構造解析と高解像度化に取り組んだ。その結果、2.7Aまでの高解像度で結晶構造が決定されたが、結合基質分子の特定には至っていない。そこで、こんどは結晶構造決定されたAcrBと非常に近いホモログであるが基質特異性に違いのあるAcrDとAcrBのキメラを作成し、どの部位が基質特異性決定に関与するのかをタンパク工学的に特定した。その結果、結晶構造から当初推定されていた頭部ポアや中央キャビティではなく、側面開口部(vestibule)からキャビティへの通路途中から少し上方のフェニルアラニンクラスター領域をAcrD型に切り替えると、AcrBからAcrD型に基質特異性が変わった。さらにその中の残基を絞り込んだところ、その領域にあるAcrD、の3個のアルギニンとAcrBの一個のグルタミン酸残基が特異性を決めていることがわかった。この知見は、高解像度結晶で発見されたポアヘリックスのコンポメーション変化と合わせて考えると、基質はキャビティで認識されポアを通るという当初の推定ではなく、キャビティに行く途中で上方にそれ、フェニルアラニンクラスターで認識され(この部分はポアの背後に当たる)、3本のポアへリックスの1本が倒れ込む運動と連携してポア上部からAcrB頭頂部のロート状開口部へと導かれ排出されるという経路が考えられることとなった。今後は、結晶構造のさらなる高解像度化と、部位特異変異、部位特異化学修飾を組み合わせて、さらに詳細な輸送経路、輸送機構の解明に取り組みたい。
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Research Products
(5 results)