2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13202022
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
笠原 正典 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (30241318)
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Keywords | パラロガス領域 / 無顎類 / BACライブラリー / MHC / ゲノム重複 |
Research Abstract |
われわれは、HLA(MHC)領域とパラロガスな領域がヒトゲノムに3箇所存在することを発見し、これらのパラロガス領域とHLA領域の原型が脊椎動物進化の初期におきたと想定される2回の大規模な染色体重複(おそらくはゲノム重複)によって形成された可能性が高いことを示してきた。今日では、本パラロガス群はヒトゲノムで同定された数多くのパラロガス領域のプロトタイプとしての地位を確立しつつある。しかしながら、1)パラロガス領域を生み出した重複の性質、回数、時期、2)重複ののちにゲノムに生じた変化、に関しては十分な理解が得られていないのが現状である。そこで、本研究では、1)系統発生的に2度の重複の直前、直後に位置すると考えられる無顎類(特に、ヌタヌナギ)に焦点を当てて、MHCパラロガス群のBACクローンを用いた解析を行うとともに、2)ゲノム解析が終了しつつあるヒトおよびマウスを対象として、重複後に生じたゲノム構造の変化を明らかにすることを目的として研究を遂行し、以下の成果を得た。 1)哺乳類とほぼ同じゲノムサイズをもつと推定されるヌタウナギのゲノムを3倍カバーするBACライブラリー(平均インサート長約100kb)の作製に成功した。現在、ゲノムカバレッジを5倍まで増加させるべく、作製作業(3Dプール作製を含む)を継続中である。 2)上記BACライブラリー(1倍ゲノムカバレッジ分)のスクリーニングを行い、少なくとも6個のMHC前駆領域をカバーするBACクローンを同定した。 3)ヌタウナギ白血球由来cDNAライブラリーのランダム・シークエンスを行い、約5,000クローンの5'-end,3'-endの塩基配列を決定した。 4)MHCパラロガス群に属するヒト遺伝子を体系的に同定し、染色体重複後に生じたゲノム構造の変化を解析した。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] Yawata, M.: "Nucleotide sequence analysis of the 〜35-kb region containing interferon-γ-inducible mouse proteasome activator genes"Immunogenetics. 53. 119-129 (2001)
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[Publications] Murata, S.: "Immunoproteasome assembly and antigen presentation in mice lacking both PA28α and PA28β"EMBOJ.. 20. 5898-5907 (2001)
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[Publications] Cohen, D.J.: "Evidence that human epididymal protein ARP plays a role in gamete fusion through complementary sites on the surface of the human egg"Biol.Reprod. 65. 1000-1005 (2001)
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[Publications] Flajnik, M.F.: "Comparative genomics of the MHC : Glimpses into the evolution of the adaptive immune system"Immunity. 15. 351-362 (2001)
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[Publications] Nagata, T: "The leukocyte common antigen (CD45) of the Pacific hagfish, Eptatretus stoutii : implications for the primordial function of CD45"Immunogenetics. 54(印刷中). (2002)
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[Publications] Liu, Y: "Xenopus class II A genes: studies of genetics, polymorphism, and expression"Dev.Comp.Immunol.. 26(印刷中). (2002)
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[Publications] Kasahara, M.: "Polyploid origin of the human genome. In : D.N.Cooper (ed.) : Encyclopedia of the Human Genome"Nature Publishing Group(印刷中). (2002)
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[Publications] 笠原正典: "特異的免疫応答.-抗原認識と免疫の発現-.菊地浩吉, 上出利光編:医科免疫学 改訂第5版"南江堂,東京. 25 (2001)
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[Publications] 笠原正典(分担執筆): "Fc receptor neonatal.大沢利昭, 奥田研爾, 小山次郎編:免疫学辞典 第2版"東京化学同人,東京. 1 (2001)
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[Publications] 笠原正典: "ゲノム重複と脊椎動物の進化.小原雄治, 榊 佳之編:ポストシークエンスのゲノム科学第4巻.ゲノムから個体へ.生命システムの理解にむけて."中山書店,東京. 13 (2001)
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[Publications] 笠原正典: "ヒトのゲノムは本来8倍体だったのか."蛋白質 核酸 酵素 臨時増刊号「ゲノムサイエンスの新たなる挑戦」,東京. 3 (2001)
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[Publications] 笠原正典: "主要組織適合遺伝子複合体のゲノム構造の謎を解く"ゲノムが語る自己非自己識別システムの歴史.医学のあゆみ198. 6 (2001)
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[Publications] 笠原正典:(分担執筆): "免疫,ほか12項目.北川高嗣, 須藤 修, 西垣 通, 濱田純一, 吉見俊哉, 米本昌平編:情報学事典"弘文堂,東京(印刷中). (2002)
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[Publications] 笠原正典:(分担執筆): "主要組織適合遺伝子複合体,ほか15項目.伊藤正男, 井村裕夫, 高久史麿編:医学大辞典"医学書院,東京(印刷中). (2002)
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[Publications] 笠原正典:(分担執筆): "MHCクラスI分子.南山堂医学大辞典 改訂19版"南山堂,東京(印刷中). (2002)