2001 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエのゲノムを用いた細胞形態を調節する因子の網羅的解析
Project/Area Number |
13202077
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
浜 千尋 理化学研究所, 神経回路発生研究チーム, チームリーダー(研究職) (50238052)
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Keywords | ショウジョウバエ / 細胞形態 / 異所発現 / 神経 / キノコ体 / ゲノム / スクリーニング / 細胞骨格 |
Research Abstract |
ゲノム上に組み込まれた遺伝子の機能を網羅的に解析するひとつの指標として、われわれは細胞の形態変化の調節に注目している。細胞形態の変化は膨大な数の因子によって制御されているが、これらの因子は無秩序な集合体ではなく限られた数の情報伝達経路上に存在している。従って、ゲノム全体を対象として網羅的に細胞形態の変化を制御する因子を同定していくことにより、機能的に関連した多くのタンパク質をグループ化することが可能であり、生命システム解明に向けてのタンパク質機能をデータベース化する際に重要な貢献をするものと考えられる。われわれは今までにショウジョウバエを用いてシナプス形成や軸索伸長などを含む神経細胞の形態変化の問題を中心に解析をすすめてきていることから、スクリーニングの対象細胞として変化を示しやすい神経細胞に絞った。本研究のように遺伝子発現量に依存した細胞形態変化を指標としたスクリーニングを全ゲノムに対して行うことは新しい試みであり、ショウジョウバエゲノム中にコードされる特定の遺伝子群が網羅的に同定されていくことが期待される。 本研究では都立大、相垣研究室で作成された遺伝子探索ライブラリーを用いてスクリーニングを進めた。このライブラリーの系統はゲノム上の任意の遺伝子を決まった組織ないし細胞で異所発現させることが可能である。そこで、このライブラリーの700系統を用いて注目するキノコ体内の神経細胞の形態を変化させる遺伝子を網羅的に解析した。その結果、40%以上の系統で形態変化が確認され、用いたシステムの感度の高さが示された。現在、これらの系統の中から神経繊維の形状に大きな変化を示す二系統に絞ってさらに解析を進めている。いずれの該当遺伝子も細胞骨格に関連したタンパク質をコードしている。
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