2001 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患の脳内遺伝子発現データベースの構築と分子病態解析
Project/Area Number |
13204031
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
那波 宏之 新潟大学, 脳研究所, 教授 (50183083)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
|
Keywords | 精神疾患 / RNA / DNAアレイ / 遺伝子プロファイリング / 分子病態 |
Research Abstract |
精神疾患は、近代のストレス社会において、極めて多くの人が発症する難病である。本課題では、申請者らが保有する貴重な死後脳検体をゲノム資源として用い、多因子疾患である精神病の脳内病態変化を遺伝子レベルで評価できるシステムを、申請者らの実績にもとずくDNAアレイ法と最新PCR法により構築した。 (1)リアルタイムPCR法を用いて、これまでにDNAアレイで遺伝子発現変化のみられた50遺伝子に対してその検証を試みた。変化率が大きい遺伝子については、このリアルタイムPCR法で追試が効いたが、変化率の小さなものは出来なかった。これは、PCRでの変化定量限界が2倍以上であるため、DNAアレイの定量検定検出感度の方が勝っているので、発現変化率の小さいRNAについてどの様に今後追試してゆくか、課題を残している。 (2)当研究所保有の多数の貴重な精神分裂病患者とコントロールの剖検脳(帯状回)より高品質RNAを抽出し、33Pを用いたcDNA合成によりプローブを作製し、DNAアレイ約3000遺伝子の発現変化をプロファイリングした。各群6例ずつの統計解析の結果、フォスファターゼの遺伝子群が12.5%と最も高く、次いで、トランズポーター受容体チャンエル群の遺伝子群の8.2%、神経細胞特異的タンパク遺伝子群の6.0%等々と続いた。他の脳部位、線条体や前頭葉におけるプロファイリング結果とは、そのRNAプロファイルがおおきく異なり、精神分裂病において帯状回は特異な脳病態を示すことが判明した。 (3)新しくできた遺伝子倫理規定に準ずる、本学において病理解剖同意手順を作製した。これにもとづき、より厳密な患者家族の同意の得た上で、更なる精神疾患剖検脳の収集、保存をはかった。これら遺伝子変動情報(分子プロファイル)をデータベース化することは、各病態の総合的解明につながるばかりでなく、当該精神疾患のゲノム多型解析の標的遺伝子に関する情報も与えるものである。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 那波宏之: "死後脳を用いた精神分裂病の病態関連遺伝子の探索と創薬の可能性"分子精神医学. 1巻1号. 12-18 (2001)
-
[Publications] China Imai 他8名: "A Quantitative study on the expression of synapsin II and N-ethylmaleimide-sensitive fusion protein in schizophrenic patients"Neurosci.Lett.. 305. 185-188 (2001)
-
[Publications] Akiya Watakabe 他6名: "Similarity and variation in gene expression among human cerebral cortical subregions reveled by DNA macroarrays : Techinical consideration of RNA expression profiling from postmortem samples"Mol.Brain Res.. 88. 74-82 (2001)