2001 Fiscal Year Annual Research Report
運動と思考の学習が共有する神経機構と作動原理の解明
Project/Area Number |
13210143
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
本田 学 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (40321608)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 知久 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (30321607)
|
Keywords | 運動制御 / 思考制御 / 運動前野 / 小脳 / 大脳基底核 / 機能的磁気共鳴画像 / 経頭蓋的磁気刺激法 / 機能的有意性 |
Research Abstract |
これまでに機能的磁気共鳴画像法をはじめとする脳機能イメージングをもちいて、心内表象の操作を含む思考過程が、運動前野、前補足運動野、小脳外側部、大脳基底核といった従来主に運動制御にもちいられると考えられてきた神経機構を共通して動員することを見いだしてきた。しかしそれらの各領域がどのような機能的有意性ならびに作動原理を有しているかは不明である。本研究においては、運動制御において重要な役割を果たしていることが知られている外側運動前野が、思考の制御において機能的な有意性を持っているかどうかを検討した。経頭蓋磁気刺激法をもちいて外側運動前野が思考過程に果たす影響を評価するための方法論開発と基礎的検討を実施した。まず実空間における磁気刺激位置を、脳機能ナビゲーション・システムをもちいて被験者の解剖学的MRI上に定位する手法を確立した。その結果、一次運動野指領域および背外側運動前野吻側部の位置を、おおよそ5mm以内の精度で同定することに成功した。また磁気刺激の影響を反応時間の変化として安定してかつ高い信頼性の元に評価するための計算反応時間課題を開発した。その結果、左外側運動前野に与えた運動閾値以下の磁気刺激が、暗算反応時間課題における反応時間を特異的に延長する傾向を見出した。 さらに大脳基底核の機能不全をもつパーキンソン病における思考速度を評価することにより、運動と思考の共通神経機構を明らかにすることを試みた。運動反応を全く用いずに、思考速度を評価する手法を開発し、パーキンソン病と健常人において思考速度を実際に評価した。その結果、パーキンソン病では思考速度が有意に低下していること、さらに思考速度の中でも、空間的な思考に比較して、文字や数字を用いた抽象性の高い思考課題において速度低下がより顕著に認められることを見いだし発表した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Hanakawa T, Honda M 他14名: "Functional mapping of human medial frontal motor areas The combined use of functional magnetic resonance imaging and cortical stimulation"Exp Brain Res. 138. 403-409 (2001)
-
[Publications] Weeks RA, Honda M 他2名: "Comparison of auditory, somatosensory, and visually instructed and internally generated finger movements : a PET study"Neuroimage. 14. 219-230 (2001)
-
[Publications] Nakamura K, Honda M 他9名: "Modulation of the visual word retrieval system in writing a functional MRI study on the Japanese orthographies"J Cogn Neurosci. 14. 104-115 (2002)
-
[Publications] Oga T, Honda M, Okada T 他9名: "Abnormal cortical mechanisms of voluntary muscle relaxation in patients with writer's cramp : An fMRI study"Brain. (発表予定).
-
[Publications] Sawamoto N, Honda M 他3名: "Cognitive slowing in Parkinson's disease : a behavioral evaluation independent of motor slowing"J Neurosci. (発表予定).
-
[Publications] 本田 学, 花川 隆: "脳のイメージ機能:乾敏郎・安西祐一郎編 認知科学の新展開4イメージと認知"岩波書店. 46 (2001)