2003 Fiscal Year Annual Research Report
上皮系細胞におけるヒトパピローマウイルス制御遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
13214048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (80281731)
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Keywords | パピローマウイルス / ウイルス発がん / がん遺伝子 / 上皮組織 / 細胞分化 |
Research Abstract |
1.E5による細胞増殖刺激 BPVではE5が主要ながん遺伝子と考えられており,EGFRやPDGFRと結合することで,その下流のシグナル経路を活性化することが知られている.HPVにおいても同様の働きが報告されているが,その効果は比較的弱く,またHPVの生活環における役割もよくわかっていない. ここではレトロウイルスベクターによってHPV18由来のE5をNHFKn,NHDFn,およびヒト肺由来の繊維芽細胞株であるWI38(石川研より分与)に導入し,その効果を解析した.E5の発現導入はいずれの細胞に対しても増殖刺激効果が認められ,その効果はWI38に対してもっとも強く,NHFKnには比較的弱い作用を示した.単層培養条件下においては,E7などの他の制御遺伝子によっては有意の増殖刺激効果は認められず,E5に固有の現象であった.こうして得られたE5発現NHFKnを皮膚モデルに用いると,過形成が誘導された.この過形成はHPV18のE7によるものに比べると穏やかなものであった. 2.E7による過形成の誘導 先の実験により,E6,E7によって上皮組織の過形成が誘導される可能性が示された.そこで,レトロウイルスベクターを用いてHPV18由来のE6,E7,および両者を発現するE6/E7をNHFKnに導入して,その効果を調べた.通常の単層培養条件下ではこれらの遺伝子発現の効果はほとんど観察されなかった.次にカルシウムと血清刺激による分化誘導に対する挙動を調べたところ,E7を発現する細胞で,弱いながら分化に対する抵抗性が確認された.これらの細胞を皮膚モデル培養系に導入すると,E7およびE6/E7発現細胞で非常に強い過形成・分化異常が観察された.
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Research Products
(1 results)