2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の修飾・制御システムの異常による発がん機構
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13214086
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (00217663)
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Keywords | がん / DNAメチル化 / クロマチン / メチル化DNA結合タンパク質 / エピジェネティクス / 翻訳後修飾 / ユビキチン / SUMO |
Research Abstract |
生体分子は様々な修飾を受けることで、標的分子との相互作用を変化させている。DNA分子中の5'-CpG-3'のシトシンのメチル基修飾、タンパク質のユビキチンおよびユビキチン様SUMOによる翻訳後修飾に焦点を当てた。ともにDNA配列以降の調節機構として、広義のエピジェネティクスに含まれている。しかも、これらの制御異常は多くの癌細胞で見出されており、腫瘍の発生機構を理解する上で極めて重要な意義を持っている。[1]メチル化DNA結合タンパク質MBD1の転写抑制機構として、1)新規のポジティブメディエーターMCAFを阻害することで転写開始を直接抑制すること、2)ヒストンのメチル化酵素・脱アセチル化酵素との協働で転写抑制すること、3)塩基除去修復酵素と相互作用することでゲノム安定性に関わることを見出した。p16などの癌抑制遺伝子のプロモーター領域のメチル化による不活性化、ゲノムのDNA損傷に対する修復に関連することが新たに判明した。[2]タンパク質の修飾について、1)新しいHECT型ユビキチンリガーゼhHYDがDNA損傷・修復に関わるトポイソメラーゼ結合タンパク質を基質とすること、2)血清反応を司る転写因子SRFがPML核内ボデイで機能制御されること、3)ベンツピレンなどの化学発癌や低酸素応答・血管形成に働く共通の転写因子ARNTがSUMO修飾で機能制御されていることを報告した。これらの分子はゲノム安定性、細胞の増殖分化と環境応答に関わることから、発癌に密接に関連すると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fujita, N.: "MCAF mediates MBD1-dependent transcriptional repression"Mol.Cell.Biol.. (in press). (2003)
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[Publications] Matsuzaki, K.: "PML-nuclear bodies are involved in cellular serum response"Genes Cells. (in press). (2003)
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[Publications] Tojo, M.: "The aryl hydrocarbon receptor nuclear transporter is modulated by the SUMO-1 conjugating system"J.Biol.Chem.. 277. 46576-46585 (2002)
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[Publications] Honda, Y.: "Cooperation of HECT-domain ubiquitin ligase hHYD and DNA topoisomerase II-binding protein for DNA damage response"J.Biol.Chem.. 277. 3599-3605 (2002)
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[Publications] Kagotani, K.: "Visualization of transcription-dependent association of imprinted genes with the nuclear matrix"Exp.Cell Res.. 274. 189-196 (2002)
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[Publications] Kudo, S.: "Functional characterization of MeCP2 mutations found in male patients with X-linked mental retardation"J.Med.Genet.. 39. 132-136 (2002)